【湯かげんは潮かげん】水無海浜温泉 ライカ北紀行 —函館— 第18回

西野 鷹志 【Profile】

うーん、いい湯だな……。思わず鼻歌がでた。ここは、太平洋とつながった野性味あふれる露天風呂、函館郊外の水無海浜温泉。国内外からの秘湯好きが湯を楽しむ。

ゆで蛸(2004)
ゆで蛸(2004)

お爺ちゃんがひとり長湯して、顔がまっ赤、ゆで蛸そのものだ。そばの活火山・恵山(えさん)の熱で温められた湯が海辺に湧き出し、海水とまじりあい良い湯かげんとなる。満ち潮となれば湯船は海に沈み、引き潮のときに温泉を楽しめる。海水が干上がると、底から湧く源泉そのままで熱すぎる。まさに湯かげんは潮まかせ。

満ち潮のときに迷いこんだ蛸が、強い引き潮のせいでゆで蛸となったとか……。この蛸を近くの浜で採れる真昆布の醤油で味わえば、美味い、この一言。

南茅部の昆布漁(2005)
南茅部の昆布漁(2005)

昆布漁師一筋(2004)
昆布漁師一筋(2004)

●道案内
函館空港から車で60分(地図へ

「ライカ北紀行 —函館—」作品一覧はこちら

    この記事につけられたキーワード

    観光 北海道 温泉 函館市 海岸 漁業 ライカ北紀行

    西野 鷹志NISHINO Takashi経歴・執筆一覧を見る

    1941年東京生まれ。エッセイスト・写真家。函館中部高校を経て慶応義塾大学経済学部卒。30代半ばで郷里に戻り、函館山ロープウェイを経営する傍ら、日本初のコミュニティFM放送「FMいるか」を創設。北海道教育委員や女子高の理事長、函館のタウン誌「街」の発行人もつとめるなどその活躍は多彩。愛用のカメラ、ライカを肩に北の港街をモノクロで撮り続けて30年。『ウイスキー・ボンボン』『風のcafé 函館の時間』など多くの著書がある。

    このシリーズの他の記事