仏の世界を再現した壮麗な「中尊寺」:世界遺産 岩手・平泉
Guideto Japan
・黄金に輝く都をしのばせる「金色堂」が圧巻
・3000点の宝物を収蔵する「讃衡蔵(さんこうぞう)」も必見
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平泉の黄金文化を築いた奥州藤原三代
11世紀末に、奥州藤原氏の初代・清衡(きよひら)によって築かれた平泉。悲惨な戦争を経験した清衡は、亡くなった人々の鎮魂と平和の実現を目指して、この世に浄土の世界を作り上げようとした。
平穏で豊かな平泉の黄金文化は、清衡と息子の基衡(もとひら)、そして孫の秀衡(ひでひら)の3代100年にわたって続いた。鎌倉幕府を開いた源頼朝の奥州征伐によって滅ぼされてしまったが、浄土思想によって築かれた庭園や黄金に輝く塔堂が今も数多く残っている。
世界遺産・平泉を代表する寺院である「中尊寺」は、藤原清衡が敵も味方もなく、すべての霊を慰めるために20年の歳月を掛けて造営した。樹齢300~400年の杉木立が連なる参道「月見坂」を登ると、途中には平泉の街が見渡せる展望所がある。その先には、1909年に再建された本堂や、今でも毎年8月に能が演じられる白山神社能舞台、平安時代(794~1185年)の古材を使用して鎌倉時代(1185~1333年)に再建されたという経蔵など、歴史ある建造物が点在する。
光り輝く「金色堂」は平泉の至宝
中尊寺の中でも圧倒的な存在感を放つのが、創建当初から残る唯一の建造物「金色堂(こんじきどう」)だ。内側も外側も、全てが金箔(きんぱく)で覆われた宝形(ほうぎょう)造りのお堂には、清衡・基衡・秀衡と4代泰衡(やすひら)の亡きがらが安置されている。漆や象牙、螺鈿(らでん)細工などの精巧な装飾が施され、領内でとれる砂金や良馬がもたらした豊かな財力によって花開いた、まさに平泉文化の神髄を伝える場所である。現在の金色堂は、風雨から守るため、コンクリート造りの覆堂(おおいどう)内で保存されている。
金色堂の向かいにある、「讃衡蔵」も見逃せない。こちらには、中尊寺に伝わる3000点以上の国宝、重要文化財が収蔵され、かつて本堂の御本尊として安置されていた阿弥陀如来像や、同じく平安時代に作られた丈六仏(じょうろくぶつ)2体も参拝することができる。その他にも、奥州藤原氏が残した芸術性の高い仏教美術が感じられる、写経や経絵(きょうえ)などは必見だ。
【DATA】
- 住所:岩手県平泉町平泉衣関202
- アクセス:JR平泉駅から岩手県交通バス「イオン前沢店行き」で「中尊寺」下車すぐ
- TEL:0191-46-2211
- 営業時間:8:30~17:00(11月4日~2月末日は16:30まで)
- 定休日:無休
- 料金:金色堂・讃衡蔵800円、高校生500円、中学生300円、小学生200円
- 多言語対応:HP…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語/フランス語、パンフレット…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語/フランス語/ロシア語/スペイン語/ドイツ語/イタリア語/ポルトガル語/タイ語、施設内案内表示…英語 ※一部の表示に中国語(繁体)・韓国語あり、音声ガイド…英語/中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語
●周辺情報
茶室 松寿庵
中尊寺の境内、本堂のそばに、静かなたたずまいの茶屋がある。「松寿庵(しょうじゅあん)」と名付けられたこの茶室は、簡素な造りだが、心落ち着く憩いの空間。急な月見坂を上って疲れた方やお参りを終えた方は、ゆっくり抹茶と和菓子を味わいながら、一休みしてみてはいかがだろう。
【DATA】
- 住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202
- アクセス:JR平泉駅から岩手県交通バス「イオン前沢店行き」で「中尊寺」下車すぐ
- TEL:0191-46-2211(中尊寺)
- 営業時間:9:30~16:00(11月4日~2月は15:30まで)
- 定休日:不定休
- 料金:1000円(抹茶・和菓子付き)
- 多言語対応:HP…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語/フランス語
取材・文・写真=シュープレス
(バナー写真=外側だけでなく内側まで金箔に覆われている「金色堂」 写真:中尊寺)