東北四大祭り「仙台七夕まつり」:伊達政宗公の時代から続く色鮮やかな伝統行事
Guideto Japan
旅 文化・さまざまな願いが込められた「七つ飾り」に注目
・同時開催の多彩なイベントも楽しめる
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約400年の歴史がある仙台の夏の風物詩
「杜(もり)の都」の名で親しまれる東北最大の都市・宮城県仙台市では、例年8月6~8日の3日間にわたって「仙台七夕まつり」が開催される。約200万人もの観光客が訪れる一大イベントで、仙台市中心部や周辺商店街はもちろん、市内各地に「七夕飾り」が取り付けられる。
「七夕」は、牽牛(けんぎゅう)星と織女(しょくじょ)星が、年に1度だけ天の川を渡って会うことができるという中国の伝説に由来する。機織りが得意だった織り姫にあやかって手芸の上達を願う「乞巧奠(きこうでん)」という行事が、奈良時代の日本に伝わったようだ。
「仙台七夕まつり」の起源は、仙台藩祖・伊達政宗公(1567~1636年)が奨励したことで年中行事になったという説が有力である。
さまざまな願いが込められた“七つ飾り”
この祭りに欠かせないのが、「七つ飾り」といわれるアイテムだ。
日本の七夕では「短冊」と呼ばれる細長い紙に願い事を書き、笹の葉に飾るのが一般的。しかし、仙台では学問や書道の上達を願う「短冊」に加え、「巾着(富貴、貯蓄)」、「屑籠(清潔と倹約)」、「投網(豊漁)」、「折鶴(家内安全、長寿)」、「吹き流し(機織りの上達)」、「紙衣(裁縫の上達、病気や災いの厄よけ)」といった7種類の飾りに願いを込める。
七つ飾りの最上部に、「くす玉」という丸い飾りが付くのも特徴。装飾の全長は5メートル近くなるので圧倒される。和紙を使うことが習わしの吹き流しは、サラサラと音を立てて風にたなびき、暑い夏に一服の涼を届けてくれる。
手作りの七夕飾りは、地元の商店や企業、学校などが数カ月前から準備する。そして、祭り初日の審査によって金賞・銀賞・銅賞が選ばれ、 受賞した飾りには賞札が取り付けられる。それぞれに趣向を凝らした七夕飾りが、街を埋め尽くす様子は壮観である。
「仙台七夕まつり」期間中は、さまざまなイベントが市内で催される。定禅寺通(じょうぜんじどおり)沿いの「勾当台(こうとうだい)公園市民広場」周辺には屋台が出店し、牛たんやカキなど宮城ならではのグルメが堪能できる。他にも、和太鼓や音楽隊の演奏、盆踊り、子ども向けのミニ七夕飾り体験コーナーなどイベントが盛りだくさんだ。
【DATA】
- 住所:宮城県仙台市 市内中心部および周辺商店街
- TEL:022-265-8185(仙台七夕まつり協賛会/事務局:仙台商工会議所)
- 開催期間:8月6~8日、飾り付け時間は午前10時~午後10時(8日は午後9時まで)、おまつり広場は午前10時~午後9時 ※いずれも予定
- 多言語対応:HP…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語、スタッフによる案内(臨時観光案内所)…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語
●周辺情報
瑞鳳殿
「瑞鳳殿」は伊達政宗が眠る霊屋(たまや)で、政宗自身の遺言にそって1637年に創建された。桃山文化を伝える豪華絢爛(ごうかけんらん)な建築として評価が高かったが、1945年の戦災で焼失。1979年に再建された現在の社殿は、2001年に大規模な改修が行われ、創建当時の美しい極彩色の意匠がよみがえった。併設する資料館には、発掘調査の様子を記録した映像や、貴重な副葬品の数々が展示されていて見応えがある。
【DATA】
- 住所:宮城県仙台市青葉区霊屋下23-2
- アクセス:JR仙台駅から仙台市観光シティループバス「るーぷる仙台」で15分、瑞鳳殿前下車すぐ
- TEL:022-262-6250
- 開館時間:午前9時~午後4時30分(12~1月は午後4時まで)※仙台七夕まつりの期間中は延長あり
- 定休日:無休
- 料金:550円、高校生400円、小・中学生200円
- 多言語対応:HP…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語、パンフレット…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語、音声ガイド(スマートフォンアプリ)…英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語
取材・文=シュープレス
(バナー写真=風にそよぐ七夕飾り 写真:仙台七夕まつり協賛会)