8種類の湯が湧く宮城の山里「鳴子温泉郷」で名湯を巡る
Guideto Japan
旅・「奥州三名湯」に数えられる宮城県大崎市の鳴子温泉
・こけしの工房が多く集まる「こけしの里」
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多彩な湯を満喫できる5つの温泉地
宮城県の北部、大崎地方を流れる江合川(えあいがわ)の上流に広がる「鳴子(なるこ)温泉郷」。鳴子温泉、東鳴子温泉、川渡(かわたび)温泉、中山平(なかやまだいら)温泉、鬼首(おにこうべ)温泉という5つの温泉街の総称で、開湯から1000年を超えるといわれる。
特徴的なのは泉質の多さだ。日本の温泉には10種類の泉質があるが、そのうち8種もの湯が鳴子温泉郷には湧いている。源泉数は約400本に上り、多くの宿や共同浴場が自家源泉を持ち、複数の源泉を引くところもあり、一つの宿で複数の泉質を楽しむというぜいたくな体験ができる。他の旅館を巡るはしご湯も、もちろん可能だ。
老舗の工房が軒を連ねる「こけしの里」
温泉郷の中心に位置する鳴子温泉は「三大こけし発祥の地」の一つに数えられ、温泉街には伝統工芸品の「鳴子こけし」を手がける工房が点在している。元々は子どもが健康に育つようにと願いを込めた縁起物であったが、大正頃から次第に土産物として人気となった。駅近くには「こけし通り」というユニークな名前の通りがあり、土産用のこけしを売る店が立ち並ぶ。街の郵便ポストや公衆電話などあらゆるものがこけしの形をしており、それらを探しながら散策する観光客も多い。
また、鳴子温泉から車で約10分の場所には、紅葉の名所として知られる鳴子峡がある。例年10月中旬から11月上旬にかけて、渓谷が赤や黄色に染まる美しい景色を展望台や遊歩道から楽しめる。
歴史ある老舗旅館で名湯を堪能
鳴子温泉郷の中でも鳴子温泉は特に源泉数が多く、300を超える湯が湧出(ゆうしゅつ)し、宮城県の秋保温泉と福島県の飯坂温泉とともに「奥州三名湯」とたたえられている。
温泉街には多くの宿が軒を連ねるが、ぜひ訪れてみたいのが1632年創業の老舗宿「元祖うなぎ湯の宿 ゆさや旅館」。古くは鳴子温泉開湯の地であり、現在は共同浴場として親しまれている「滝の湯」の湯守を伊達藩から命じられた格式ある宿だ。木造2階建ての本館と土蔵は、歴史的建造物として2000年に国の登録有形文化財に選ばれた。
ゆさや旅館ではアルカリ泉の「うなぎ湯」、硫黄泉の「滝の湯」、貸し切り露天風呂の「茜の湯」の3種の湯に浸かることができる。特にうなぎ湯は名湯として知られ、ぬるりと滑らかな湯で美肌効果が高いことが名前の由来。天候や気温によって白濁したり、エメラルドグリーンになったりと、色が変化するのも特徴的である。
少し高台にある茜の湯は、利用客なら無料で30分間貸し切りにできる。自然に包まれた開放感あふれる露天風呂で、四季の移ろいを感じながら浸かる湯は格別だ。
【DATA】
元祖うなぎ湯の宿 ゆさや旅館
- 住所:宮城県大崎市鳴子温泉湯元84
- アクセス:JR鳴子温泉駅から徒歩4分
- TEL:0229-83-2565
- 料金:1泊2食付 1万3950円~
- 多言語対応:スタッフによる案内…英語、フランス語
足湯で気軽に温泉を楽しむ
日帰りで鳴子温泉郷を訪れる場合も、共同浴場や足湯で手軽に温泉を楽しめる。足湯は無料だが、タオルの貸し出しなどは行っていないので、持参するか温泉街の商店で購入してから利用しよう。
共同浴場は滝の湯以外にも、鳴子温泉には「鳴子・早稲田桟敷湯」、川渡温泉には「川渡温泉浴場」、中山平温泉には「しんとろの湯」、鬼首温泉には「すぱ鬼首の湯」と全5施設がある。地元の人も利用しているので、気軽に話しかければ旅の思い出になるかもしれない。
●周辺情報
桜井こけし店
鳴子こけしの創始者ともいわれる大沼又五郎さん以来、6代続く老舗こけし工房が「桜井こけし店」だ。ここでは、伝統的な鳴子こけしの他、オリジナリティーあふれる創作こけしや木地雛を制作・販売している。こけしの絵付け体験も可能で、「鳴子こけし」「ペン立てこけし」「お手紙こけし」の3タイプから選んで制作に挑戦できる。
【DATA】
- 住所:宮城県大崎市鳴子温泉字湯元26
- アクセス:JR鳴子温泉駅から徒歩3分
- TEL:0229−87−3575
- 営業時間:8:00~19:00
- 定休日:不定休
- 多言語対応:HP…英語、パンフレット…英語
取材・文=シュープレス
(バナー写真=ゆさや旅館の離れにある「茜の湯」 写真提供:元祖うなぎ湯の宿 ゆさや旅館)