熊本県 黒川温泉:心も体も癒やされる源泉掛け流しの湯【10】

・入湯手形で露天風呂めぐりが楽しめる
・日本の原風景を感じさせる温泉地
・ミシュランガイドで2つ星を獲得

現代人の疲れを癒やす山あいの温泉地

九州の2つの観光地、九重連山と阿蘇山の山あい、大分県境に近い標高700メートルに湧く「黒川温泉」。ヤマメやカジカがすみ、ホタルが生息する清流・田の原(たのはる)川の両岸に、ナラやクヌギなどの木々に囲まれた約30軒の温泉宿が点在し、しっとりとした温泉情緒を醸し出す。

湧出量が豊富で、温泉街のあちこちに源泉があり、自家源泉を持つ湯宿も多い。効能の良さで知れる源泉掛け流しの湯は、切り傷に特に効果があるために「疵湯(きずゆ)」の別名もある。

黒川温泉の穴湯共同浴場

黒川温泉は、地元の人々によって育てられた温泉地だ。「現代人は安らぎを求めて温泉に行く。だから、温泉地はふるさとのようにしなくてはいけない」という理念のもと、温泉組合が杉だけだった土地にコナラなどの雑木を次々に植えていき、年間100万人以上が訪れる「温泉の桃源郷」に作り上げていった。温泉街も落ち着いた雰囲気にするため、建物や看板を黒や茶で統一している。

黒川の温泉街

30年前に、異なる宿の湯が楽しめる「入湯手形」を全国で先駆けて始めた。地元の間伐材で作られた直径10 センチメートルの木製プレートを1300円で購入すれば、希望する3カ所の露天風呂に入ることができる。温泉街に沿って散策コースも整備されており、風呂上がりに浴衣がけでの湯巡りも楽しい。

黒川温泉内にある温泉神社には、絵馬のように使用済みの入湯手形がぶら下がっていた(PIXTA)

九州において黒川温泉は湯布院と双璧をなす温泉地だが、高原リゾートの湯布院とは対照的に、日本の原風景を目指して成功を収めている。『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン(2009年版)』では、温泉地として2つ星を獲得している。

湯め巡りを楽しむ観光客たち

●福岡から黒川温泉へのアクセス

自動車:九州自動車道「福岡IC」から「日田IC」まで約70キロメートル、約1時間。さらに一般道で黒川温泉まで約45キロメートル、約1時間。

バス:九州産交高速バス「博多バスターミナル」から「黒川温泉」まで約3時間。

公式ホームページ:黒川温泉観光旅館協同組合

写真提供:黒川温泉観光旅館協同組合
(バナー写真:黒川温泉の温泉街)

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