満開の桜で華やいだ熊本城:復旧進み、新しゃちほこが初の花見
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桜の開花時期限定で規制区域も開放
1607年、「築城の名手」と呼ばれた戦国武将・加藤清正によって創建された熊本城。日本三名城の一つに数えられ、春には約800本の桜が咲く花見の名所として知られている。今年も3月下旬に開花した桜が、4月上旬に満開となり、熊本地震からの復旧工事が進む城内を春色に染めた。
城の玄関口にある桜名所「行幸(みゆき)坂」は、震災後、立ち入りが規制されているが、開花期間には一般開放日が設けられ、道沿いの桜並木が多くの花見客を出迎えた。二の丸広場では、家族連れがブルーシートを広げて弁当と桜を楽しむなど和やかな雰囲気に包まれた。
親子三代の技で復活する天守閣のしゃちほこ
昨年の花見風景との大きな違いは、大天守を囲っていた足場の上部が撤去されたこと。ふき替えられた屋根の瓦としっくいの白さに、薄紅色の桜が美しく映える。そして、大天守の最上部には2体のしゃちほこが復活。2018年4月28日に震災から2年ぶりに設置されたが、桜の時季は終わっていただけに、新しゃちほこと桜の共演は今年が初となる。
このしゃちほこは、「藤本鬼瓦」(熊本県宇城市)の代表・藤本康祐さんが製作を担当。実は、震災で壊れた大天守と小天守のしゃちほこは、藤本さんの父・勝巳さんが07年の築城400年に合わせて製作したものだった。勝巳さんは、その3年後に他界。そのため「父と作った経験を生かし、復興のシンボルをぜひ自分の手で」と意気込んだという。小天守のしゃちほこは、東京からUターンで戻ってきた息子の修悟さんが製作を担当し、20年8月に設置予定だ。父から受け継いだ技を、さらに息子に伝えることで天守閣のしゃちほこを復活させる。
天守閣の一般公開は21年春、復旧完了は37年度末を予定して工事は進められている。作業はまだまだ続くが、新しゃちほこが天守閣の上から復興を見守ってくれるだろう。
●アクセス
「熊本駅」から市電で約10分「熊本城・市役所前」下車、徒歩すぐ
取材・文・写真=歌岡 泰宏(ポルト)
(バナー写真:熊本城大天守のしゃちほこを桜越しに望む)