京都「佐野藤右衛門邸」:“桜守”が育んだ銘木たち
Guideto Japan
旅- 日本全国の桜の保存活動を行う「桜守」の私邸
- 200種という圧倒的な品種の多さ
- 夜は不定期にかがり火がたかれ、幻想的な空間となる
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桜の名所と名木を守り育てる“桜守”の邸宅
「佐野藤右衛門」とは庭師の名跡で、「植藤造園」の当主が代々受け継いでいる。ユネスコの世界文化遺産に登録され、皇室ともゆかりが深い京都の仁和寺で、1832(天保3)年から植木職人として仕えてきた。
当代は16代目となり、桂離宮や修学院離宮の庭園整備を任されている他、有名な円山公園「祇園しだれ」などを手掛けている。14代目からは日本全国の桜の保存活動を行っているため、「桜守」としても知られるようになった。その佐野藤右衛門の邸宅の庭が、桜の季節には一般に開放されているのだ。
※2018年の台風によって庭園が被害を受けたため、19年の一般開放は中止。復旧には2~3年かかる見込み
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桜の博物館のように品種が豊富
庭園内には約200種類もの桜がある。それぞれが健康な状態で育ち、美しい花を咲かすのは、桜を知り尽くす佐野藤右衛門の自邸ならではといえるだろう。
石塔が並んだ日本庭園風の造作で、床几(しょうぎ)が鑑賞用に置かれている。そこに腰掛けながら、周囲に咲くベニシダレザクラを見上げると圧巻。空を覆い尽くす桜の花と枝が、美しく見えるように計算して配置されていることに感動する。
邸内の桜の前には、名前を書いた札が立てられている。「彬姫」、「台湾寒緋(かんひ)」、「アーコレード」など珍しい種類が多く、花や木の姿と名前を見比べて、それぞれの由来に思いをはせるのも楽しい。
不定期だが、夜にはかがり火がたかれ、幻想的な雰囲気に包まれる。炎のゆらめきに合わせて、桜もよりあでやかな表情へと変化していく。
佐野藤右衛門邸
- 住所:京都府京都市右京区山越中町13
- アクセス:京都市バス「山越」より徒歩10分
- 入場料:無料
- 注意事項:個人宅なので、駐車場など無し。公共交通機関を利用すること
取材・文=藤井 和幸(96BOX)
写真=黒岩 正和(96BOX)