ニッポンの酒

知っていると100倍おいしい酒のABC(3)—覚えておきたいキーワード—

文化

山同 敦子 【Profile】

日本酒を買いに行くとその種類の多さにびっくりする。そんなとき、「プレミアムSAKE」のグレード表が頭に入っていると、欲しい酒を店主に伝えられる。ぜひ、キーワードと一緒にグレード表を役に立ててほしい。

覚えておきたい用語:プレミアム酒のグレード表をチェック

日本酒と一言で言っても、造り方や原材料、産地、造る人の流儀などによって、香りも味わいもまったく異なり、専門用語もたくさんある。おいしさに出会うためには、まずは特定名称酒(プレミアムSAKE)のグレード表を頭に入れておこう。チェックポイントは、特定名称酒(プレミアムSAKE)かどうかという点だ。「純米」「吟醸」「本醸造」などという言葉がラベルに書いていない場合は、プレミアムSAKEではないと考えて良い。

次に、プレミアムSAKEならば、3つの要件で、3つのグループに分けられる。

  • 1つ目は原料。米と米麹、水で造るのは「純米酒グループ」。ここに醸造アルコールを加えるのは「本醸造グループ」。
  • 2つ目は、吟醸造りをしているかどうか。吟醸造りとは吟味して醸すという意味で、低温で時間をかけて発酵させる方法。
  • 3つ目は、米をどんな割合で精米するか、精米歩合(パーセント)の違い。

グレード表をチェックしてみよう。

  • 一般的に精米歩合が低い(米の表面をたくさん削る)ほど味は繊細になり、値段は高価になる。おいしいかどうかは、おのおのの好みによる。
  • 醸造アルコールを加えると一般的には軽くなり、香りが立つ。ここ数年、醸造アルコールを加えない純米グループ(純米酒や特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒)に人気が集まる傾向にある。

山形県の酒米「出羽燦々(でわさんさん)の玄米(左)と、表面を削って糠(ぬか)として50%を落とした精米歩合50%の状態(右)。  撮影=山同敦子

バナー写真: 純米酒グループのなかにも、純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒など、さまざまなグレードがある(写真はイメージ。並びは順不同)。 

写真撮影=山同 敦子
シリーズ題字=金澤 翔子(書家) 

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    ニッポンの酒 日本酒 SAKE

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    食と酒のジャーナリスト、ノンフィクション作家。JSA(日本ソムリエ協会)認定ソムリエ。SSI認定・利き酒師(ききざけし)。上智大学文学部卒業。酒蔵に魅せられて酒ライターに。人気の食の雑誌「dancyu」(プレジデント社)、文化誌「サライ」(小学館)などに寄稿。著書に『愛と情熱の日本酒~魂をゆさぶる造り酒屋たち』(ダイヤモンド社)、『日本酒ドラマチック 進化と熱狂の時代』(講談社)ほか。  

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