「デジタル終活」の認知度わずか3.2%:死後、SNSやネット取引がどうなるか考えていますか?
社会- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
高齢化が進む日本。新語・流行語大賞の候補に自らの死に備えて準備をすることを意味する「終活」という言葉が初めてノミネートされたのが2010年。半年も経てば忘れられてしまう短命の流行語も多い中で、「終活」は私たちの生活にすっかり定着しつつある。
調査会社マクロミルが2018年10月に全国の2000人を対象に実施した調査では、「終活」を「知っている」が全体の76.2%、「内容は知らないが、言葉は知っている」が21.6%で、「全く知らない」はわずか2.2%だった。さらに、終活に「とても興味がある」「やや興味がある」を合わせて65.9%に上った。
実際に「終活」をしている人は全体の10.7%で、「終活をしている人」と「終活をしたいと思っている人」にその理由(複数回答)を聞いたところ、「家族に迷惑をかけたくない」が89.2%と圧倒的に多かった。
終活をしている人に具体的な内容(複数回答)について聞いたところ、所持品の整理が66.8%と最多だった。親の死後の遺品整理の苦労が雑誌の特集などで取り上げられることも多く、気力・体力のあるうちに不用品などの処分を進める人が増えているようだ。その一方で、「デジタルデータの生前整理、対処法の検討」は22.9%にとどまっている。
高齢者でもスマホやパソコンを使いこなし、SNSで友人とコミュニケーションをとったり、ネットバンキングや株取引などに活用している人も少なくない。ところが、本人しかID番号やパスワードを知らないまま死んでしまうと、SNSのアカウントを閉鎖できなかったり、中には、知らぬ間に金融取引の負債が積みあがったりするなどのトラブルが発生し、まさに、家族に迷惑が掛けかねない事態になる。
そもそも、「デジタル終活」についての認知度は極めて低く、「初めて知った」が70.3%、「言葉を聞いたことがある」が26.5%で、詳しく知っている人はわずか3.2%だった。デジタル終活について説明した上で、考えを聞いたところ「死後、人に見られたくないデータがある」は41%、「もしもの場合、デジタルデータがどうなるか不安」は53%に上った。
「身の回りの整理は、タンスや押し入れの中だけでなく、パソコンの中まで」という時代がやってきた。
バナー写真:PIXTA