上場企業の女性役員比率は3.8%:政府目標「2020年までに10%」は実現なるか?
社会
2018年3月期決算の上場企業の役員の女性比率はわずか3.8%だった。女性役員がゼロの企業が全体の65.8%を占める。
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2018年3月期決算の上場企業2375社の役員総数は2万7526人で、このうち女性役員は1049人しかいないことが、信用調査会社・東京商工リサーチ(本社東京)の集計で明らかになった。女性役員比率は3.8%(前年は3.3%)にとどまった。また、女性役員がゼロの企業は1536社で、上場企業全体の65.8%を占めた。
業種別では、サービス業が6.07%と最も高く、小売5.96%、金融・保険5.69%が続いた。一方、最も女性役員比率が低いのは建設業の2.06%だった。
業種 | 2018年3月期の役員数 | ||
---|---|---|---|
役員総数(人) | 女性(人) | 女性比率(%) | |
水産・農林・鉱業 | 126 | 4 | 3.17 |
建設 | 1697 | 35 | 2.06 |
製造業 | 12745 | 407 | 3.19 |
電気・ガス | 327 | 17 | 5.19 |
運輸・情報通信 | 3689 | 134 | 3.63 |
卸売 | 2637 | 89 | 3.37 |
小売 | 1459 | 87 | 5.96 |
金融・保険 | 2214 | 126 | 5.69 |
不動産 | 641 | 29 | 4.52 |
サービス | 1991 | 121 | 6.07 |
全業種 | 27526 | 1049 | 3.81 |
東京商工リサーチ「女性役員比率調査」を基に編集部作成
安倍政権は「女性活躍」を重要政策として掲げ、13年4月には安倍晋三首相が経団連など経済3団体のトップと会談し、全上場企業で役員に1人は女性を登用するよう求めた。15年度からは、有価証券報告書に役員の人数を男女別に記載し、女性比率を明記することを義務付けた。さらに、15年12月にとりまとめた政府の男女共同参画基本計画では20年までに女性役員比率を10%にすることを目標としているが、残り2年での達成は厳しそうだ。
諸外国では、役員の一定割合を女性とすることをあらかじめ定める「クオータ制」を導入することで、女性役員比率を急速に高めているケースが多い。また、米カリフォルニア州は同州に本社を置く上場企業(外資企業を含む)に、19年末までに最低1人の女性役員を登用することを義務付けた。さらに、21年末までには、役員5人の企業は女性役員を2人に、役員6人以上の企業は女性役員を3人に増やすことが求められている。
バナー写真 : PIXTA