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訪日外国人、史上最速で2000万人突破:災害影響? 7-8月の伸びは鈍化

社会 旅と暮らし

2018年の訪日外国人客数は史上最速のペースで2000万人を突破したが、相次ぐ自然災害が影を落としつつある。

日本政府観光局によると、2018年の訪日外国人客は8月末時点で2130万8900人(推計値)となり、これまでで最も速いペースで2000万人を突破した。同局は、新規就航等の航空路線の拡充に加えて、継続的に展開している訪日旅行プロモーションの効果が出ているとしている。

8月までの累計で来日客数が多いのは中国579万5600人(前年比18.7%増)、韓国521万8300人(同12.0%増)、台湾336万800人(同8.0%増)など。前年からの伸び率が大きいのは、ロシア27.2%増の6万900人、ベトナム26.9%増の26万2000人、スペイン21.5%増の7万9500人など。

ただ、月別の推移を見ると、2月以降、前年比2桁で推移していた来日客数は、7月5.6%増、8月4.1%増にとどまりペースダウンが目立つ。6月18日に発生した大阪北部地震、6月末~7月初旬にかけての西日本豪雨の影響で、これまで訪日客数の伸びをけん引してきた東アジアの一部で訪日旅行を控える動きが出たことが影響しているという。

特に、韓国からの旅行客には大阪は人気の目的地の一つだっただけに、地震の影響をもろに受け、7月は前月比5.6%減、8月は4.3%減と伸び悩んだ。香港も航空座席供給量が前年同月と比べて増加しているものの、旅客数は伸びなかった。

月別の訪日外国人客数の比較

2017年 2018年 伸び率(%)
1月 2,295,668 2,501,409 9.0
2月 2,035,771 2,509,297 23.3
3月 2,205,664 2,607,956 18.2
4月 2,578,970 2,900,718 12.5
5月 2,294,717 2,675,052 16.6
6月 2,346,442 2,704,631 15.3
7月 2,681,518 2,832,000 5.6
8月 2,477,428 2,577,800 4.1

日本政府観光局のデータを基に編集部作成

さらに、関西空港が一時、閉鎖されるなどの事態となった台風21号や、最大震度7の揺れを記録した北海道地震など9月に入ってからも相次いでいる自然災害が訪日旅行需要に影響を及ぼす恐れもある。北海道庁のまとめによると、9月15日現在で94万2000泊分のキャンセルが発生、交通費や飲食・土産物消費を含めた、観光消費の影響額は292億円に達した(国内旅行分も含む)。政府観光局では、「正確な情報発信に努め、訪日旅行市場に与える影響について引き続き、注視していく」としている。

バナー写真 : 外国人観光客に人気の大阪市中央区の黒門市場(時事)

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