NPO法施行から20年:団体数は5万超、収益力には課題も
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非営利で社会貢献に取り組む民間団体の発展を促す特定非営利活動促進法(NPO法)の施行から間もなく20年を迎える。内閣府の集計によると、2018年6月末時点のNPOの数は5万1774法人となり、社会での存在感が増している。
NPO法が誕生するきっかけとなったのは、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災だ。延べ100万人以上のボランティアが被災地に向かい、行政とは異なるスタンスで復興支援活動に取り組み、「ボランティア元年」と呼ばれた。こうした市民活動のうねりが国会を動かし、1998年3月に議員立法として成立した。それまで、市民団体には法人格がなく、不動産を借りたり、銀行口座を開いたりすることが難しかったが、法的な地位を獲得したことで、活動の幅が広がり、社会からの認知も高まった。2001年10月には、公益性が高く、一定の基準を満たしたNPO法人を認定し、それらの団体への寄付を優遇する「認定NPO制度」が導入された。
NPOは営利を目的とはしていないが、活動によって収益を上げ、次なる事業の活動費に充てることが認められている。2000年4月に介護保険制度がスタートすると、事業者として多くのNPO法人が参入。また、2010年代に入ってからは、ビジネスの発想で社会課題を解決することを目指してNPO法人を設立する「社会起業家」と呼ばれる人も増えつつある。
最近では、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及がNPOを進化させている。インターネット上のコミュニティで賛同者や協力者とのつながりを保ち、災害発生時に機動的にボランティアを募集して被災地に駆けつけたり、事業やイベント運営のためのまとまった資金をクラウドファンディングで募ったりする手法が広まっている。
ただ、内閣府が2017年度に実施した調査(6437法人を対象とし、3471法人から回答)によれば、年間収益1000万円以下のNPOが半数を超え、4割は常勤の有給職員がゼロ人と、収益基盤、活動基盤ともぜい弱な団体が多いのが実情だ。個人からの寄付額0円が47%、0円超~10万円以下が17.7%であるにも関わらず、52.1%の団体が「寄付について特に取り組んでいることはない」と答えた。寄付文化の醸成は今後の課題と言えそうだ。
NPOの活動を支援するため、2016年には「休眠預金活用法」が成立した。金融機関に預けられたまま10年以上にわたって口座から出し入れのない「休眠預金」を、公益活動への助成や融資に活用するもので、19年秋から実施される。休眠預金は年間700億円程度の発生が見込まれている。
バナー写真 : 熊本地震の被災地で子どもたちに勉強のアドバイスをするNPO法人「カタリバ」の学生スタッフ(時事)