「もったいない!」食品ロス650万トンを減らせ!:食料自給率の低い日本の矛盾
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環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性ワンガリ・マータイさん(故人)は、「もったいない」という日本語に感銘を受け、環境を守る世界共通語「MOTTAINAI」として広めることを提唱した。
ところが、「もったいない」発祥の日本で、大量の食べ物が捨てられている。政府の推計によると、売れ残りや賞味期限切れ、食べ残しなど、本来は食べられたはずのものが捨てられる「食品ロス」が2015年度は約646万トンに上った。国民1人あたり、毎日、お茶碗1杯分(約136グラム)の食品を捨てている計算になる。同年度の日本の食料自給率は39%。大量の食料を諸外国に頼っているにも関わらず、大量の食品を捨てているのだ。
食品ロスを生む要因の一つとなっているのが、「3分の1ルール」と呼ばれる食品流通の商慣行だ。メーカーや卸は、製造日から賞味期限までの期間の3分の1以内に小売店に納品しなければならず、この期間を過ぎたものについては、小売店側は受け取りを拒否できるというもの。もともとは、消費者に品質の安定した商品を届けるための発想だが、諸外国と比べても厳しすぎる期間設定によって、品質上、何の問題もないものが大量廃棄されてきた。農林水産省の支援で、食品メーカーや小売業界が商慣行見直しための検討会を設置し、飲料や菓子の一部を対象に、納品期限を「3分の1」から「2分の1」に緩和するなどの取り組みが始まっている。
一方で、こうした賞味期限までの期間が迫った流通在庫や食品メーカーの製造工程で出る規格外品、一般家庭のデッドストックなどを集めて福祉施設や生活困窮者らに無償で提供する「フードバンク」と呼ばれる団体が増えている。
農林水産省によると、フードバンクは全国で77団体(2017年1月末時点)あり、この10年で6倍に増えた。日本の相対的貧困率(全国民に占める低所得者の割合)は15.7%(15年)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均の11.4%(13年)を大幅に上回っている。豊かな国であるのに生活に困窮する人が多く、食料を海外に頼っているのに大量に食品を廃棄するという2つの矛盾を少しでも解消するために、フードバンクの活動には期待が寄せられている。
食品ロスの約半分は家庭から発生している。農水省の調査によれば、家庭から出される生ごみの中には、手付かずの食品が2割もあり、そのうちの4分の1は賞味期限前にもかかわらず捨てられているという。同省や環境省は、食品ロス削減のためには、家庭での取り組みも重要として、「買い過ぎず、使いきる、食べきるように」と呼びかけている。