小・中学校のエアコン設置、ようやく半数 : 巨額の設置費用、ランニングコストが障害に
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文部科学省が実施した全国の公立小・中学校の冷房設備設置状況調査によると、2017年4月1日現在、公立小・中学校の普通教室38万8776室のうち、冷房設備を設置している教室は19万3003室で、設置率は49.6%だった。2014年度の前回調査よりも16.8%アップしたものの、まだ、半分近い教室はエアコン未設置で、熱中症のリスクと隣り合わせで授業が行われている。
理科室、音楽室などの特別教室を含めた設置率は41.7%、体育館、武道場などの運動施設に関しては、冷房設置率はわずか1.2%だった。
設置率には都道府県ごとにかなりのバラつきがある。普通教室は、東京都(99.9%)、香川県(97.7%)、福井県(86.5%)、群馬県(85.7%)、京都府(84%)、滋賀県(82.8%)の6県が80%を超えていた。
一方で、設置率20%に満たない県が14道県に及ぶ。東北地方や北海道で設置率が低いのは当然と思われがちだが、北日本でも夏場は30度以上を記録する日は珍しくない。2018年は4月30日に北海道大空町で30度の真夏日となった。また、冬の降雪が多い地域は、冬休みを長く設定するかわりに夏休みは短く、盛夏の8月下旬には授業が再開する。
奈良県(7.4%)、愛媛県(5.9%)、長崎県(8.6%)など、盆地や緯度が低いために高温になりやすいにもかかわらず、設置率が低い県もある。
実は、公立学校へのエアコン導入については各地の地方議会で繰り返し質問に取り上げられたり、首長選挙で候補者が公約に掲げたりしており、関係者は問題意識を持っている。それでも、導入がなかなか進まないのは巨額のコストがかかるためだ。文部科学省では、空調整備に対して学校施設環境改善交付金として1/3の額を補助しているが、市町村単位で一斉導入すれば自治体にも数十億円単位の負担となる。また、電気代、メンテナンスコストなどは補助の対象外だ。
愛知県内のある自治体が2017年7月に2週間にわたって市内の小・中学校の教室内の温度を調べたところ、最高室温は市街地の学校では35.9度、山間地の学校でも32.4度だった。
もし、オフィスの室温が30度を超えていたら、仕事ははかどるだろうか。健康被害は出ないだろうか。大人たちの想像力が問われている。
追記 : 菅義偉官房長官は2018年7月24日午前の定例会見で「児童・生徒の安全、健康を守るための猛暑対策は緊急の課題」とし、小・中学校へのエアコン設置を政府として補助する考えを示した。「来年のこの時期に間に合うよう、政府として責任を持って対応したい」と述べた。