国際結婚に注目集まる—「マッサン」効果?
社会- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
年間最高記録は06年の4万4701組
厚生労働省が公表した人口動態調査によると、夫婦の一方が外国籍の婚姻、いわゆる国際結婚は2013年、2万1488組だった。同年の婚姻の総件数は66万0613組で、当然のことながら、日本人同士の婚姻が63万9125組と圧倒的多数を占めている。が、国際結婚も「30組に1組」の割合で、50年近く前の1965年の国際結婚はわずか4156組、「230組に1組」しかなかった。その後、国際結婚は徐々に増え、83年に1万組、89年に2万組、99年に3万組、05年に4万組を突破。しかし、翌06年に4万4701組を記録したあとは、毎年、減って、08年に3万組台、11年には2万組台に落ち、その後も微減を続けている。
これと同時に国際結婚の比率も2006年の6.11%をピークに下降し、13年には3.25%になっており、必ずしも、「結婚する人の数が減ってきた」からだとはいえない。因みに、日本の結婚総件数は、ここ10年では、06年の73万0971組がピークで、08年に一時増えたが、13年には66万0613組にまで落ちてきている。
入管法改正でフィリピン人女性との結婚が激減
国際結婚の件数と比率の低下理由として考えられるのが、05年の入管法の改正だといわれている。政府は治安上の観点から入管法改正で在留資格取得の審査要件を厳格化。これによって、フィリピン人女性が「興行」を理由に日本に入国することが以前に比べ難しくなり、男女の“出会い”が激減。06年を境に、日本人男性とフィリピン人女性との結婚が急激に減り、国際結婚の件数もダウンしたというのである。
日本人男性とフィリピン人女性との結婚は、人口動態調査のデータによると、1992年、5771組だったのが、05年に初めて1万組を突破して1万0242組となり、06年には1万2150組まで増えた。しかし、その後、減少に転じ、13年は何と3118組になってしまった。また、数字としてはっきりでているわけではないが、偽装結婚で日本に入ってくる中国人女性の取り締まり強化も、国際結婚の件数と比率の低下に影響している可能性がある。
国際結婚絡みの出版物は大人気
とはいえ、繰り返しになるが、「2万組台」「30組に1組」という国際結婚の件数は決して小さなものではなく、海外に出て外国人と夫婦になる日本人が少なくないことを考えると、その数は当然、さらに多く、「(国際結婚は)今後、一般化していく方向にある」と指摘する専門家もいる。
この中で、日本人の国際結婚に対する関心は高まるばかり。ネット上には外国人の花嫁・花婿候補の写真を載せた結婚紹介サイトがあふれ、国際結婚したカップルを紹介するテレビ番組は後を絶たず、NHKの朝ドラ「マッサン」の番組最後の写真付きの“幸せ国際結婚カップル”紹介は大人気。出版業界では「ダーリンはイギリス人」(ウエイド 美加著)、「わたしのカレは韓国人」(ブーミン、モー子 著)、「国際結婚イスラームの花嫁」(泉久恵著)などといった書籍が次々と出版されている。
日本人男性の国際結婚相手、4割が中国人
ところで、2013年の日本人の国際結婚では、「夫日本・妻外国」が1万5442人、「妻日本・夫外国」が6046人。妻が外国人であることが、夫が外国人のケースに比べて2.5倍以上。日本人男性がアジア人の女性と結婚するケースが圧倒的に多いためで、外国人妻で最も多かったのが中国人の6253人(全体の40.4%)。2位がフィリピン人の3118人(同20.1%)、3位が韓国・朝鮮人(在日韓国人・朝鮮人を含む)の2734人(同17.7%)、4位がタイ人の981人(同6.3%)、5位がブラジル人の212人(同1.3%)の順。
一方、外国人夫で最も多かったのが韓国・朝鮮人で、1689人(同27.9%)。次いで米国人が多く、1158人(同19.1%)。3位は中国人の718人(同11.8%)、4位がブラジル人の286人(同4.7%)、5位が英国人の247人(同4.0%)となっている。
日本人女性の結婚相手で韓国・朝鮮人が最も多いのは、特別永住権をもって日本で生活する在日韓国・朝鮮人と結ばれるケースが少なくないからだ。また、このデータからも分かるように、日本人女性が欧米人と結ばれるケースは比較的多く、日本人男性が米国人と英国人の女性と結婚した件数は184組と38組しかなかった。
カバー写真=女優の寺島しのぶ(左)とフランス人の夫(提供・時事)