日本人学校などで学ぶ児童・生徒は7万人以上
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アジアは10年間で約70%も増加
外務省の統計によると、2013年10月1日現在、海外に滞在している日本人(在留期間が3ヵ月に満たない旅行者等短期滞在者は除く)の数は125万8263人で、前年比8686人、0.7%増加し、統計をとり始めた1968年以来の最高を記録した。在留邦人の数はここ5年間で約11%、人数にして12万6456人も増加したことになる。また、これに伴い、海外で教育を受ける日本人の小・中学生も着実に増えている。
その数は2013年5月1日現在、7万1628人。前年は6万6975人で、10年前の03年の5万2462人に比べて2万人近くアップした。地域別では、欧州や中南米は微増。中東、アフリカが横ばい。大洋州がかすかに減っているのに対し、アジアは大幅に増加している。北米は、増減を繰り返しながらも増加傾向にあり、12年から13年にかけて急増した。「北米市場再評価の動きと連動している可能性もある」(日系企業関係者)という。
地域別では、アジアは2013年5月1日現在、2万7586人。10年前の03年の1万6184人に比べて約70%も増えた。北米は03年時点で2万0848人とアジアを大きく上回っていた。が、05年に逆転。北米が1万8445人にまで落ち込んだのに対し、アジアは2万0113人となって、北米を1600人以上上回った。日中貿易が日米貿易を取引総額で逆転したのが04年のことだったことを考えると、うなずける。ただ、北米はその後、盛り返し、13年には前年の2万1738人から2万5540人へと大幅に増え、アジアに追いついてきた。ちなみに、欧州1万2788人、大洋州2293人、中南米1784人、中東1013人、アフリカ624人。ここからも日本とそれぞれの地域の“距離”がみえてくる。
バンコク日本人学校は3千人を突破し世界一に
アジアにおいてはここ10年、バンコク(タイ)と上海(中国)の日本人学校の児童・生徒の数が急伸した。2014年4月現在、バンコク日本人学校の児童・生徒(小中学生)の数は3052人で、同校が今や世界最大の日本人学校となっている。これに次ぐのが上海日本人学校。小学生だけの虹橋校が1412人、中学生もいる浦東校が1378人で、合計2790人。ただ、同校は「この1年間で約260人も減少した」(学校関係者)そうで、1年前までは上海日本人学校が世界一だった。
PM2.5(微小粒子状物質)に象徴される中国の大気汚染、反日デモ、日系の労働集約型企業の撤退などが響いているとみられ、「家族連れ(の社員)が帰国し、新しく(上海に)赴任してきても、家族を日本に置いてくるケースが少なくない」(日系企業関係者)という。
英語圏の北米、大洋州は現地校や国際学校を選択
また、地域によって日本人学校の活用に大きな違いがある。英語圏の北米や大洋州は日本人学校に通わす率が極めて小さく、北米は児童・生徒2万5540人のうち413人(1.6%)、大洋州は2293人のうち140人(6.1%)しか日本人学校で学んでいない。これに対し、アジアは2万7586人のうち1万6710人(60.5%)、中南米では1784人のうち573人(32.1%)、中東では1013人のうち323人(31.9%)が日本人学校に通っている。欧州とアフリカの日本人学校利用率はそれぞれ20.5%と14.8%。
北米や大洋州では、児童・生徒の多くが現地校やインターナショナルスクールに通い、土曜日や放課後を利用して日本の補習授業校に行っている。現地校やインターナショナルスクールで「(国際言語である)英語を徹底的に学ばせ、日本に戻った方が得だ」という考えがあるようだ。これに対し、非英語圏では「地元の言葉を学んでも受験に役に立たない」と考え、国内の学校と教育内容も一致している日本人学校を選択しているケースが少なくない。
帰国子女は毎年1万人-約6割が小学生
国際化が進む中では、当然のことながら、多くの日本人の児童・生徒が海外から戻ってくる。文部科学省はこうした帰国子女について「海外勤務者の子供で、1年以上、海外に在留して帰国した児童・生徒」と規定しているが、同省の「学校基本調査」によると、2012年4月1日から13年3月31日までの間に帰国した帰国子女は1万0591人。前年に比べ6.1%増加した。
うちわけは小学生が6182人、中学生が2343人、高校生が1951人、中等教育学校生が115人。小学生が約6割と圧倒的に多いのは、小さいといきは海外に帯同するが、子供が中高生になると、高校や大学受験を考えて、国内に残してくるケースが増えてくるからだという。日本にとって教育の国際化の壁は高い。
カバー写真=インド・ニューデリーの日本人学校(提供/時事)