沖縄米軍基地返還計画
政治・外交 社会
日米両政府は2013年4月5日、沖縄米軍基地のうち嘉手納基地以南の6施設・区域の返還計画を明らかにした。焦点の普天間飛行場(宜野湾市)については、「2022年度またはそれ以降」に返還するとしたが、政府と沖縄県側との隔たりはなお大きい。
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普天間飛行場の返還は2022年度以降
施設・区域の返還時期(見込み)一覧表
必要な手続の完了後に速やかに返還可能となる区域 | |
キャンプ瑞慶覧(キャンプ・フォスター)の西普天間住宅地区 | 2014年度またはその後 |
牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の北側進入路 | 2013年度またはその後 |
牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の第5ゲート付近の区域 | 2014年度またはその後 |
キャンプ瑞慶覧(キャンプ・フォスター)の施設技術部地区内の倉庫地区の一部 | 2019年度またはその後 |
沖縄において代替施設が提供され次第、返還可能となる区域 | |
キャンプ桑江(キャンプ・レスター) | 2025年度またはその後 |
キャンプ瑞慶覧(キャンプ・フォスター)のロウワー・プラザ住宅地区 | 2024年度またはその後 |
キャンプ瑞慶覧(キャンプ・フォスター)の喜舎場住宅地区の一部 | 2024年度またはその後 |
キャンプ瑞慶覧(キャンプ・フォスター)のインダストリアル・コリドー | 2024年度またはその後 |
牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の倉庫地区の大半を含む部分 | 2025年度またはその後 |
那覇港湾施設 | 2028年度またはその後 |
陸軍貯油施設第1桑江タンク・ファーム | 2022年度またはその後 |
普天間飛行場 | 2022年度またはその後 |
米海兵隊の兵力が沖縄から日本国外の場所に移転するに伴い、返還可能となる区域 | |
キャンプ瑞慶覧(キャンプ・フォスター)の追加的な部分 | マスタープラン作成過程において検討 |
牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の残余の部分 | 2024年度またはその後 |
(外務省発表資料より作成)
日米両政府は2013年4月5日、「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」に合意した。沖縄県内で人口の多い嘉手納基地以南にある米軍6基地の各施設を再編統合したうえで、空いた土地を順次日本に返還する計画で、それぞれの返還時期を明示した。
最大の焦点である普天間飛行場(宜野湾市)の返還時期は、名護市辺野古への移設を前提に「2022年度またはそれ以降」とした。また、地元で返還要望が強かった牧港補給地区の一部は、2013年度中にも返還できるとしている。ただ、普天間基地の県内移設については、「県外移設」を求める沖縄県側の理解が得られていない。
返還計画の対象地域の大半は、県内の別の場所に機能を移転・集約した後に返還するもので、代替施設の整備が前提となる。
沖縄県には在日米軍施設面積全体の約74%が集中。普天間を除く5施設が返還された後もこれが2%程度縮小するだけで、沖縄の過重な基地負担が大きく軽減されるわけではない。しかし、返還時期の明示により跡地利用の計画づくりも可能になり一歩前進する。
在沖米軍基地が持つ抑止効果も
米軍基地が過度に集中する沖縄県にとって、基地面積の縮小・土地の返還は戦後一貫した悲願である。他方、米国の極東戦略の一環として位置づけられた在日米軍基地の中で、沖縄の戦略的重要性は高い。北朝鮮の軍事的威嚇や中国の尖閣列島周辺での示威活動などが続く中で、在沖縄米軍は日本の安全保障上の抑止力として機能している。
沖縄の基地問題は、日本の歴代政権が打開に苦しみ、主要メディアの論調も割れている。基地負担軽減と米軍の抑止力維持をにらみながら、日米両政府と沖縄県民の3者がぎりぎりの妥協点を見出し、こう着状態から抜け出すことが期待される。