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戦後の日本銀行歴代総裁

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日本銀行の白川方明総裁が2013年3月19日に退任し、翌20日から黒田東彦新総裁が就任。大蔵省・財務省OBの日銀総裁就任は15年ぶりだ。第2次世界大戦後の日銀歴代総裁を振り返る。

氏名 在任期間 出身 主な経歴
渋沢敬三

1944.3.18~1945.10.9 民間 第一銀行副頭取、日銀副総裁
新木栄吉

1945.10.9~1946.6.1
※公職追放により辞任
日銀 日銀副総裁
一萬田尚登

1946.6.1~1954.12.10 日銀 日銀理事
新木 栄吉
(2度目)
1954.12.10~1956.11.30    
山際正道

1956.11.30~1964.12.17 大蔵省 大蔵事務次官
宇佐美洵

1964.12.17~1969.12.16 民間 三菱銀行頭取
佐々木直

1969.12.17~1974.12.16 日銀 日銀副総裁
森永貞一郎

1974.12.17~1979.12.16 大蔵省 大蔵事務次官、東京証券取引所理事長
前川春雄

1979.12.17~1984.12.16 日銀 日銀副総裁
澄田智

1984.12.17~1989.12.16 大蔵省 大蔵事務次官、日銀副総裁
三重野康 1989.12.17~1994.12.16 日銀 日銀副総裁
松下康雄

1994.12.17~1
998.3.20
大蔵省 大蔵事務次官、さくら銀行会長
速水優

1998.3.20~
2003.3.19
日銀 日銀理事、日商岩井会長
福井俊彦

2003.3.20~
2008.3.19
日銀 日銀副総裁
白川正明 2008.4.9~
2013.3.19
日銀 日銀副総裁
黒田東彦

2013.3.20~
2023.4.8
大蔵省/財務省 財務官、アジア開発銀行総裁
植田和男 2023.4.9~ 民間 東大教授、日銀審議委員

 

日銀法改正(1998年)で様変わりした日銀総裁人事

日本銀行は、総裁(1人)を筆頭に、副総裁(2人)、監事(3人以内)、理事(6人以内)、参与(若干名)、審議委員(6人)の役員を置いている。日銀の総裁、副総裁、審議委員は、国会衆参両院の同意を得て、内閣が任命する。総裁、副総裁、審議委員の任期は5年。

監事は内閣が任命し、理事、参与は日銀政策委員会(総裁、副総裁、審議委員で構成)の推薦に基づいて財務大臣が任命する。監事、理事の任期は4年、参与の任期は2年。

1970年代以降、日銀総裁人事は、日銀出身者と大蔵省(現財務省)OBが交互に総裁を務める、いわゆる「たすき掛け」人事となっていた。しかし、中央銀行としての独立性を重んじた1998年の日銀法改正で、こうした慣習は廃止された。その結果、速水優氏、福井俊彦氏、白川方明氏と3代続けて、日銀出身者が総裁に就任している。

大蔵省・財務省OBが拒否された2008年の国会承認

福井氏の任期満了(2008年3月19日)に伴う総裁人事の国会承認においては、日銀の独立性が確保されるかどうかが大きな争点となり、政府(自民、公明連立の福田康夫内閣)が国会に提示した武藤敏郎氏(元財務事務次官)、田波耕治氏(元大蔵事務次官)を総裁に指名する2つの人事案は、いずれも民主党などの野党が多数を占める参議院で否決された。このため、3月19日で総裁を退任した福井氏が3月20日付で副総裁に就任する白川氏を「次期日銀総裁が就任するまでの間、総裁の職務を代行する者」に指名した。

この結果、白川氏は副総裁就任と同時に総裁職務代行者となったが、政府は4月9日、白川氏を総裁に指名する人事案を改めて提示し、国会で承認された。日銀総裁空席期間は20日間で終わった。

2013年、15年ぶりに財務省OBを起用

2013年の総裁交代では、白川氏が2月5日、任期満了(4月8日)を待たずして、3月19日付で総裁を辞職することを表明。政府(自公連立の第2次安倍晋三内閣)は、白川氏の後任総裁として黒田東彦氏(元財務官、アジア開発銀行[ADB]総裁)となった。大蔵省・財務省OBが日銀総裁に就任するのは15年ぶりだった。

戦後初の学者出身

黒田氏の後任として有力視されていた日銀出身者は固辞。人選は最後まで揺れに揺れ、戦後初の学者出身者・植田和男氏が就任した。黒田氏は異次元緩和を掲げ、世界的にインフレが広がる中、主要国・地域の中央銀行で日本だけが緩和政策を続けたことで、円安が進行。緩和に固執する硬直的な金融政策が物価高に拍車を掛けたとの批判も出ていた。金融政策やマクロ経済理論に精通した植田氏の起用で、最重要課題である大規模金融緩和策の正常化を目指す。

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