
「福島」を自分の目で確かめ、新たな発見をしたい——「福島、元気?」企画者・陳昱築さん
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専門家らが自ら情報を発信
野嶋 みなさん若者たちで、どんな人たちが日本に行ったのですか?
陳さん 6つの民間非政府組織(NGO)に声を掛けて、一緒に行きました。「教育」「地域づくり」「農業」などに取り組んでいる組織で、それぞれの分野のエキスパートを抱えています。彼らの仕事は普段は日本とは直接関係がないけれど、テーマについては専門家であり、独自のソーシャルネットワークグループの人々を持っています。彼らには、自分たちのグループにそれぞれ情報発信をしてもらうことを狙いました。
福島を訪問したのは2017年の8月21日から28日までです。寒い時期は台湾人が耐えられないので、夏を狙っていきました(笑)。訪問者は全部で38人です。各団体からは3人ずつ参加してもらい、うち1人は撮影担当で、それぞれにドキュメンタリーを作ってもらったのです。
野嶋 費用はどうしましたか?
陳さん ファンディング(募金)を呼び掛けました。それから企業や公益団体にも声を掛けました。基本は全て民間の資金だけでやってみました。終わったら全部使い切ってしまいました。これから日本での展示も3月11日に合わせてやりたく、準備を始めようと思っています。
野嶋 このプロジェクトに参加した若者たちの反応はいかがでしたか?
陳さん 最初はみんな怖がっていました。でも農家を訪ねて、どのように作られているのか、どのように検査しているのか、それを見せてもらいながら農家の人たちの説明を受けました。農家の人たちがどれだけ安全を心掛けているか、もし検査でおかしな数値が出たら、農家の人たちも大変なことになるという話には、納得させられました。また泊まった民宿では出される料理の全てに、どの農家が作ったか分かるようになっていたのにも驚かされました。
野嶋 台湾社会では「福島=怖い」というイメージですね。
陳さん はい、そうなんです。しかし、日本も台湾もどちらも自然災害が多く、地震も頻繁に起きます。福島で起きたような複合的災害が一体どういうものなのか、そこからの復興がどのように進むのか、私たち台湾人は知っておかなくてはならない。学ぶためのそのいい具体例が福島だと思いました。とにかく、自分たちで見て、考える事が大切です。その上で、例えば食品についても、輸入するかどうか、自分たちで決めればいいのです。
野嶋 台湾で今も禁止されている福島県などの食品輸入について、陳さん個人としては、どのように思いますか?
陳さん
先ほど申しましたように、最後は自分たちが決めればいいのです。ですけれども決定権のある政治家や反対運動の人たちも福島を訪れていない。今、台湾では福島の食品問題は完全に政治的に操作される問題になっています。それは残念なことです。その状況を変えたいという思いがあります。
バナー写真撮影=野嶋 剛
動画制作及び提供=Impact Hub Taipei社会影響力製造所