新語・流行語・今年の漢字

2017年の新語・流行語大賞は「インスタ映え」と「忖度」

社会

今年の世相を表す言葉を決める「2017 ユーキャン新語・流行語大賞」(自由国民社『現代用語の基礎知識』選)の年間大賞とトップテンが発表された。

2017年の「ユーキャン新語・流行語大賞」が12月1日に発表された。写真共有SNS「インスタグラム」の定着で広まった「インスタ映え」、政治の世界からあっという間に社会に広まった「忖度(そんたく)」の2つが年間大賞に選ばれた。

トップテンには、地球上の男性の数でお茶の間を沸かせた芸人ブルゾンちえみの「35億」、睡眠不足が借金のように日々蓄積する「睡眠負債」、アメリカ・ファーストや都民ファーストで脚光を浴びた「〇〇ファースト」などが入った。

今回さらに、2つの特別賞が選ばれた。日本学生対校選手権男子100メートル決勝で10秒の壁を破り、新記録を出した東洋大学・桐生祥秀選手の「9.98」と、史上最年少の中学生プロ棋士・藤井聡太四段(15)の「29連勝」だ。

年間大賞とトップテン、特別賞は、文化人らによる選考委員会が候補30語の中から選出した。11月9日に候補語を発表した大賞事務局は「言葉そのものに勢いがなく低調な年」と評し、「そのなかでも『9.98』で10秒の壁を破った桐生祥秀選手や『29連勝』の藤井フィーバーは、希望を与えてくれた」とコメントした。本日、選考委員を務める『現代用語の基礎知識』編集部長の清水均さんは選評の中で「今年の『世相』がここにあらわれています」と述べ、もはや『世相』は死語になったのかとあきらめかけていたところに、満場一致の大賞語が時代の特徴を規定した」と続けた。

一方、姜尚中・東京大学名誉教授は、「何事につけ真偽のほどが定かでなくなった時代を象徴するような言葉が目立った」と語った。

女優でエッセイストの室井滋さんは、今年も「世間を騒がせた政治的騒動に付随する言葉が頭に浮かんだ」とコメントしている。「新語・流行語は年月が過ぎて、『ああそうだったね』と今年の世情が鮮やかによみがえってくる言葉でなければいけないし、懐かしくなる言葉であってほしい」とも語った。

歌人の俵万智さんは、「ネットの強さを感じた一方、それが流行語の寿命が短い要因の一つだろう」と感想を述べ、「ネットは言葉を素早く広め、また消費しつくす。ネットの有無で言葉の届く時間に差も生まれる」と分析した。

年間大賞、トップテン各語

インスタ映え【年間大賞】

インスタグラムの人気とともに、スマートフォンユーザーが意識するようになった「インスタ映え」。今年は、その意識が一般に浸透した年だった。かわいい誰かに変身したいという願いはいつの時代も女の子のみならず、人を夢中にさせる。スマホの向こうのおとぎの国のステージが大賞に輝いた。表彰式には、CanCam(キャンキャン) it girlが登場。インスタ映えする写真を自撮りするためのアイテムをいかに使って「盛る」かについてコメントし、「今日の出来は100%」と笑顔で答えた。

忖度(そんたく)【年間大賞】

相手の気持ちをおしはかって配慮すること。ネット辞書の検索ランキング(goo辞書)では、3月中旬から約4カ月間、この言葉が1位を維持した。英国の新聞でも「忖度」が日本のスキャンダルの裏側に存在する言葉として取り上げられた。日本中、マスコミのみならず、日常会話に至るまで、あらゆる場面で使われることが増えた。

35億

「地球上に男は何人いると思っているの?35億!」との決めゼリフで茶の間を沸かせた、女性芸人「ブルゾンちえみ」。Austin Mahone (オースティン・マホーン)の曲「Dirty Work(ダーティー・ワーク)」に乗せ、振り返って「キメ」るスタイルが大うけした。

Jアラート

8月に北朝鮮の弾道ミサイルが事前通告なしに日本上空を通過した。東日本中心に一斉に鳴り響いたJアラートは、「全国瞬時警報システム」の通称。

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睡眠負債

日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、命にかかわる病気のリスクを高め、日々の生活の質を下げていくこと。米国スタンフォード大学の西野精治教授によれば、睡眠不足の蓄積は、認知症などの発症リスクにもなるという。

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ひふみん

1954年に当時史上最年少として14歳7カ月でプロ入りし天才と呼ばれた加藤一二三(ひふみ)九段は、6月20日に77歳で引退表明。その愛らしいキャラクターが受けて人気者になり、引退グッズまでつくられた。昨年12月24日に行われた史上最年少中学プロ棋士・藤井聡太四段のデビュー戦対局相手。

史上最年少の中学2年(当時)の将棋棋士・藤井聡太四段のデビュー戦となる対局を終え、取材に応じる藤井四段(右)と現役最年長棋士の加藤一二三・九段=2016年12月24日、東京都渋谷区の将棋会館(時事)

フェイクニュース

2016年米国大統領選挙で、いかにも報道サイトっぽいウェブサイトで拡散されたうそやでっち上げのニュース。日本でもニュースを装って、間違った情報が流布され拡散される。

プレミアムフライデー

政府と経済界が主導した個人消費喚起キャンペーンだったが、月末の金曜日に早めの退社を促すものだったため、ハードルが高くビジネス界に浸透しなかった。キャンペーン効果はほとんどなかった。

魔の二回生

中川俊直前衆院議員、豊田真由子前衆院議員、務台俊介衆院議員と、不祥事が続いた自民党の当選二回生議員を表す言葉。

〇〇ファースト

米国のドナルド・トランプ大統領が好んで使う「アメリカ・ファースト」。日本でも、小池百合子都知事による「都民ファースト」の会など、形を変えて使われた。

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選考委員特別賞

今回、2つの選考委員特別賞が選ばれた。日本人史上初の9秒台となる9.98を記録した桐生祥秀選手と、中学生プロ棋士・藤井聡太四段の前人未到の29連勝記録だ。

9.98(10秒の壁)

東洋大学の桐生祥秀選手が9月9日、日本学生対校選手権男子100メートル決勝で日本人史上初の9秒台となる9.98を記録し、10秒の壁を破った。

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29連勝(藤井フィーバー)

史上最年少の中学生プロ棋士・藤井聡太四段(15)が前人未到の29連勝記録を達成した。「フジイノミクス」なる新語も生まれるほどのフィーバーぶりだった。

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バナー写真:12月1日に都内で行われた表彰式。雑誌「CanCam」の読者モデルCanCam it girlが「インスタ映え」で年間大賞を受賞した。

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