日本で見つけたイスラムの世界

戦前の日本におけるイスラム交流

社会 文化

サミール・アブドルハミード・ヌーフ 【Profile】

日本を訪れる東南アジア諸国などからのムスリム観光客の増加にともない、礼拝所の設置やイスラムの戒律に則ったハラールへの対応が広がり始めている。イスラムに対する理解の一助として、本稿では、日本を訪れたり住んでいた外国人ムスリムや、日本人ムスリムの手になる記録を通じて、戦前の日本へのイスラム伝来とラマダンについて振りかえる。

断食明けには楽しいパーティー

今日、日本各地には多くのモスクが点在しており、ラマダン月の夜には、各モスクの責任者が礼拝はもちろんのこと、イフタールの会や講和の会などを熱心に開催している。

2014年7月9日に同志社大学で開催されたイフタール会の様子(写真:筆者提供)

そして、断食の終わりを告げる月の出が観測されると、ムスリム達は、あちこちのモスクで断食明け祭のパーティーを開くのである。そこには、ムスリムだけでなく、中東諸国の文化やイスラム文明・文化に関心を持つ非ムスリムも集まり、共に祝う。

このように、ラマダン月は、日本にイスラムが根付いていることを感じられる象徴的な1ヵ月となったのである。

2014年7月9日に同志社大学で開催されたイフタール会の様子。京都在住のムスリムの学生および教授のためばかりでなく、日本人にイスラム文化を紹介する目的で開催された(写真:筆者提供)

(原文アラビア語。タイトル写真=神戸モスク外観)

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サミール・アブドルハミード・ヌーフSamir Abdel Hamid I. NOUH経歴・執筆一覧を見る

同志社大学神学部神学研究科客員教授、一神教学際研究センター監事。専門は東洋言語(アラビア語、ペルシア語、ウルドゥー語)、比較言語学、東洋文化。カイロ大学で教鞭を執り、1982年、東京のアラブ・イスラーム学院に移る。1986年にイマーム・ムハンマド・ビン・サウド大学(リヤド)に移り、2004年より同志社大学の任期付教授。著作に、日本におけるイスラムと宗教、武士道とイスラム文明の価値など。

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