国際社会とともに

ミャンマーの少数民族支援に100億円

日本政府は、ミャンマーでの軍と少数民族勢力の和平プロセスを後押しするため、旧紛争地域などに食糧や医薬品を配布するなど、総額100億円の支援をする方針を発表した。

日本政府は2014年1月6日、ミャンマーにおける国内和平の実現および少数民族勢力との旧紛争地域などでの民生向上のため、和平プロセスの進展に合わせて、今後5年間で100億円の支援を行う方針を明らかにした。沼田幹夫駐ミャンマー大使と笹川陽平ミャンマー国民和解担当日本政府代表(日本財団会長)が同日、ミャンマーの旧首都ヤンゴンで記者発表した。

ヤンゴン中央駅

ミャンマーでは、社会主義政権から軍事政権に移行した1988年以降、国際社会と距離を置き、国民は厳しい生活を余儀なくされ、軍事政権時代を通じて、自治権の拡大を求める少数民族の武装勢力と政府軍との紛争が続いてきた。民政移管後のミャンマー政府は、新たな国づくりへの道を歩み出し、民主化や市場経済化に向けた改革が急ピッチで進展。併せて、少数民族武装勢力との間で全土での停戦合意に向けた協議を進めている。

今般の100億円の支援は、ミャンマー国民の和解が進展し、少数民族地域などで人々の生活向上や人材育成、経済インフラ整備などを図るのが目的。緊急支援として食糧や医薬品を紛争で被害を受けた地域にNPOなどを通じて配布する。これにより、ミャンマーの民主化や持続的発展への改革努力、和平プロセスを後押しする。

シャン州で平和に暮らす一家

昨年2回行われた安倍晋三首相とテイン・セイン大統領との首脳会談では、日本側がミャンマーのインフラ整備などのために総額1000億円を超える財政支援を行うことを表明したが、今回の100億円の支援はこれとは別に追加的に行われる。

この支援の実施団体については、少数民族勢力との紛争が続いてきた地域での活動がミャンマー政府から正式に許可され、少数民族勢力からも受け入れられる――などの基準を満たす日本の民間団体を想定している。笹川代表はミャンマーにおける政府と少数民族勢力との和平に長年取り組んできており、今回の支援も笹川氏の助言を踏まえ決定された。

バナー写真提供=日本財団

ミャンマー 日本財団