オバマ米大統領の広島訪問を

政治・外交

オバマ米大統領の被爆地・広島訪問への期待が高まっている。広島市民の願いを込めて米国に要請活動を行ってきた三山秀昭氏に、訪問の歴史的意義などについて聞いた。

三山 秀昭 MIYAMA Hideaki

ジャーナリスト、広島テレビ放送社長。1946年富山県生まれ。早稲田大学卒。読売新聞ワシントン支局長、政治部長などを歴任。2011年6月より現職。

核廃絶の機運取り戻すチャンス

三山氏は、日本のメディアが米国の国務長官が「謝罪をしたか、否か」と言葉尻を捉えて論じることに異を唱えている。米国内の世論の変化を見極めつつ、若い世代を粘り強く核の廃絶に取り込んでいこうとするケリー国務長官の姿勢を多角的に報道すべきだというのである。米政府に対する遠慮や、米国がいま大統領選挙のまっただ中であることへの配慮からではない。オバマ大統領が伊勢志摩サミットを機にヒロシマ・スピーチを行い、核の廃絶に向けた機運を再び取り戻す絶好の機会が訪れつつあるからだ。

「今回の広島宣言で、原爆投下を『極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難』と外務省の仮訳では表現しています。日本の新聞に『非人間的な苦難』のくだりが誤訳ではないかとする記事が載りました。直訳すれば『人間的な苦難』」となりますが、全体の文脈から考えて、『人としての苦しみという結末を味わった』という意味でしょう。アメリカの意向に配慮して超訳したという批判は当たらないと思う。もしそうなら、この宣言を『我々は、核兵器は二度と使われてはならないという広島及び長崎の人々の心からの強い願いを共にしている』と締めくくることはなかったはずです」

これまで日本国内では「オバマ大統領は広島に来るのか」といった観測だけが支配的だった。三山秀昭というヒロシマ在住のジャーナリストの行動は、「オバマ大統領にヒロシマ・スピーチを」と声をあげることで、受け身の日米関係に新たな一石を投じた。

取材・文:nippon.com 編集部

バナー写真:原爆死没者慰霊碑に献花する各国の外相。左からドイツのシュタインマイヤー外相、日本の岸田文雄外相、米国のケリー国務長官、英国のハモンド外相、カナダのディオン外相、欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表=2016年4月11日午前、広島市中区の平和記念公園[代表撮影](時事)

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