台湾を変えた日本人シリーズ:台湾先住民研究の先駆者・鳥居龍蔵

文化

東アジア各地でも調査研究を行う

台湾本島での調査は、先住民の調査だけにとどまらず、圓山貝塚の発掘調査など台湾考古学の基礎を築いている。この分野の研究者には、鳥居の他に伊能嘉矩、鹿野忠雄、森丑之助、移川子之蔵、宮本延人、馬淵東一、千々岩助太郎、小川尚義、浅井恵倫などがいる。彼らは先住民が独自の生活風習を保っていた時代の調査報告や写真を残し、現代においても台湾学術界に引き継がれ、貴重な資料となっている。

鳥居は台湾調査以外に沖縄、中国、満州、蒙古、朝鮮、シベリア、樺太など広範囲に調査活動を続けた。1905年には東京帝大の講師となり、21年には「満蒙の有史以前」で文学博士の学位を授与され、翌年助教授に昇進するが、24年に辞職し自宅に「鳥居人類学研究所」を設立。きみ子夫人ら家族とともに日本各地や中国各地の調査研究を続けた。特に中国の王朝の一つ「遼」への関心は強く、鳥居のライフワークとなった。39年、ハーバード燕京研究所に招かれ、家族で中国に移住するが、日本の敗戦もあり51年に帰国し、53年1月14日、東京で82歳の生涯を終えた。

バナー写真=鳥居龍蔵とヤミ族の船(提供:古川 勝三)

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