台南で3千人の日本人をもてなした檳榔おじさんが語る「日台友好」の心

文化

マルヤン 【Profile】

歴史観光の新たなステージへ

日本人観光客が好きな台南の観光スポットをまとめると、名勝遺跡と台南グルメの他に、縁結びの月下老人の廟にも多くの若い男女が必ず訪れる。女性が恥ずかしそうに尋ねて来たことがあった。私も彼女らの願いがかなったらと心から願う。また、烏山頭ダムや飛虎将軍廟を訪れることも多い。台湾と日本の過去の歴史が原因だろうか。血縁も地縁も関係ないのに、訪問客はいつも「八田與一」先生の銅像にお花や果物をささげる。自身はたばこを吸わないのに、日本からたばこを持ってきて「杉浦茂峰」将軍にささげることもある。これらは地元の台南人には理解できない行為だが、神様のご加護があらんことを願っている。

これまで、日本から台湾を訪れる旅行客は今日ほど多くなかった。台湾すら知らない状況の中、東日本大震災に対する台湾からの支援で多くの日本の友人らが「台湾」を再認識した。もっと台湾のことを知ろうと、興味を持ち始め、多くの方が観光で訪れるようになった。これは一種の国民外交ではないだろうか。台湾人である私も、この盛り上がりに貢献できればと思っている。『私の台南』を読んで、乱雑な私の店舗にやってきて、私とおしゃべりをしてくれる人々と、私なりの方法で台湾と日本との友好に力添えしたいと思う。

おかげさまで私の日常も楽しいものになった。本を読んだ方は、私を外見だけで判断して店に来ることをやめたりしない。この変なおじさん(実はおじさんというほど年をとっていない)と一緒に写真を撮って、あいさつをして、身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取って、互いにフェイスブックでも友達になる。驚きと喜びの連続で、本当に毎日が刺激的で楽しい。まるで私の心を試しているようだ。

マルヤン氏提供

台湾を愛してやまない日本の友人たちにとって、台湾グルメが彼らを引き付けるのか、それとも台南人の人情味なのか——考えてみたものの、やっぱり答えは出ない。それならどんな方法でも試してみよう、誤解があっても面の皮の厚さで乗り切って笑い話にしてしまえばいい。「お客さまは神様」の精神で、毎日遠方からやって来る友人たちを迎えたい。リピーターであろうが初見であろうが、とことん心を込めたもてなしをしようと思う。檳榔店にやって来た全ての人々に、檳榔だけにとどまらない何かを感じてもらいたい。

ふと、三十数年ぶりにこんなに字を書いたことに気付いた。思いつくままに筆を進めたため、文の内容が前後しているかもしれない。浅学のため、大目に見てくれたし。

(バナー写真、マルヤン氏提供)

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1965年台湾台南市生まれ。1999年に父が起こした檳榔店を引き継ぎ2代目店長になる。台湾で唯一本も売る檳榔店で、日本人観光客がもっとも訪れる檳榔店でもある。今までに3000人以上の日本人観光客を受け入れ、同時にアマチュアのご当地文化ガイドも兼任している。

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