インドネシア大統領の来日で一気に増した対日親密度
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インドネシアのジョコ・ウィドド新大統領が2015年3月22日から25日に来日した。初来日の大統領に面会した日本の政財界の代表は、この若いリーダーが2014年の大統領選挙の勝利をもたらした“カリスマ性”と親しみやすさを目の当たりにした。20年近く前のスハルト大統領以来、日本と同国民に対してこのようにオープンに振る舞うインドネシアの国家元首はいなかった。
親近感にあふれるニューリーダー
私はジャーナリストとして、日本とインドネシアの多くの指導者たちをカバーしてきたが、両国が強力な関係を長期にわたって維持してきたにもかかわらず、所属先や地位に関わりなく人々とこれほどオープンに交流するインドネシアの大統領を見たのは初めての経験である。
この親しみやすさを感じられた例として挙げたいのは、3月24日に開催された日本、インドネシアの実業家との会合である。ウィドド大統領が2000人あまりの参加者の中に入っていくと、ひとりの見知らぬ男が近寄りサインを求めてきた。大統領警護チームであるPaspampresが大統領と面談する人々を注意深く見守っていたのだが、大統領はこの男に対し参加者と一緒になるよう促しながら、笑みを持って歓迎し、差し出された封筒にサインをしたのだ。
同じような場面がほかにも見られた。レセプションでは大統領は周囲にいる人々に対して個人的レベルで懇意になろうと心掛けており、会場を出る際にも立ちどまり、ドア近くに着席していた日本の実業家たちに対して語りかけた。大統領のこのような努力は暖かく受け入れられるとともに、同様の反応が実業家たちから返ってきた。
強化された2国間関係
ある財界人は、ウィドド大統領について「非常に優しい人物だ」と私に対して語った。同氏が日本語の親近感や親密さを感じさせる「優しい」という言葉を使ったことが興味深かった。この言葉は知人について使われることがあっても、世界第4位の大国の指導者の性格を簡潔に表現するために使われるとは思わなかった。しかし、以上述べたように、政治的、経済的地位に関係なく近くにいる人々とオープンに交流する姿勢を貫くインドネシア大統領にはふさわしい言葉のように思える。
インドネシアの新政権はウィドド大統領の訪日により対日関係で幸先の良いスタートを切ったことになる。日本、インドネシア国民の友好親善活動を通じて力強い個人的関係が築かれたことになり、経済、政治、文化面などさまざまな分野で両国関係の発展が期待される。
両国が個人レベルやビジネス上などで今後とも強力な関係を発展されることができれば、協力の枠組みを維持するために政府の努力や資源に頼る必要がより小さくなる。両国はすでに存在している緊密な絆を育むことで前進することができるのだ。
すべてに利益をもたらす投資活動
インドネシアは日本からの投資により大きな恩恵を受けてきた。3万メガワット級の発電所が日本企業の資金・技術支援により建設される計画がある一方、同様の支援により、インドネシア各地に商港が開発されており、世界中の企業にとって同国市場へのアクセスが容易になってくる。
ウィドド大統領は訪日中にこの協力関係の強化に努めた結果、日本政府は首都ジャカルタの鉄道建設プロジェクトに対し、15兆ルピア(約1,500億円)に上る資金供与を約束。トヨタ自動車は同国でのさまざまなプロジェクトに対して20兆ルピア(約2,000億円)投資する方針を明らかにした。
インドネシアのインフラ整備を目的としたこれらの投資は、同国経済のさらなる成長につながるとともに、プロジェクトにかかわる企業に貴重なビジネスチャンスを提供することになる。結果は「ウィン・ウィン」状況で、インドネシアは完全に機能するインフラを獲得、日本と世界の各国は、同国の経済成長から恩恵を受けることになる。
2035年にはインドネシアのGDPが1位の予測も
米国のある投資会社によると、インドネシアはGDPで2035年までに世界一になると予測されている。この予測の背景には、インドネシアの人口が多いこと、天然資源に富むこと、政治環境が安定していること、そして外国企業の投資に対して開かれていることなどが挙げられる。
インドネシアは世界経済の中で、主要なプレーヤーになる位置に付けている。その点で重要なのは、日本のようなしっかりした経済パートナーからの投資であり、これらの国との力強い絆により、世界中の経済が最終的に恩恵を受けるのである。
(2015年4月9日記。原文インドネシア語から英語へ翻訳し、英語から日本語へ翻訳。カバー写真=総理大臣官邸で安倍総理と首脳会談を行ったジョコ・ウィドド大統領。提供・時事)