日中・日台の1972年体制の行方
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2012年は主要国の首脳陣が交代する重要な年だが、東アジアも例外ではない。中国の指導部、また台湾の総統が交代する。韓国の大統領は任期5年なので、2013年まで李明博が大統領であるが、2011年末には北朝鮮の金正日総書記が他界し、2012年は指導部の移行期となった。2012年の東アジア国際政治をとりまく環境は確かに変化するだろう。とりわけ、朝鮮半島情勢、また台湾海峡をめぐる中国と台湾の関係など、この50年間以上、東アジアの基本構造とまでいえた所与の条件に変化の兆しが見えてくる可能性がある。日本としても、今後起こりうる変化を幅広く予測し、国益に鑑みて、柔軟に事態に対処、判断していくことが求められるであろう。
日中1972年体制の前提の変容
歴史的に見た場合でも、2012年は重要な年だ。日中国交正常化/日華(台)断交40周年、中韓国交正常化/華(台)韓断交20周年という節目にあたる。これをめぐって学界で議論されていることに「72年体制」というものがある。それは72年の日中国交正常化に際しての枠組みが、以後の日中関係の基本となったという方である。それは、“日中友好”を基調とし、台湾問題や歴史認識問題、領土問題についての一定の合意、あるいは棚上げを具体的な内容としていた。無論、当時も現在も、日中関係の最大の焦点は実は台湾問題であるし(尖閣諸島をめぐる問題もつきつめれば台湾問題である)、歴史が重要な問題であることは変わらない。だが、その台湾をめぐる情勢が変わりつつあり、また中国の国力、米中関係に変化が見られる今、この「72年体制」が今後も日中関係の基礎たりえるのかどうか心もとない面がある。
日台1972年体制のもどかしさ
他方、1972年体制には別の側面がある。それは日本と台湾の関係においても、72年の断交に際して形成された枠組みが、以後の関係の基礎となったという点である。これは日台関係を経済貿易・文化関係に限定しようとするものであった。日華(台)の断交後、日本から台湾への投資も増大し、関係はきわめて緊密になった。東日本大震災に際しての台湾からの義捐金が200億円にも達したように、双方の感情も良好だ。だが、台湾海峡をめぐる情勢の変化、あるいは中国の台頭という、東アジアの国際政治における根本的な変容が生じる可能性がある現在、この日台間の1972年体制についても、ある種の「もどかしさ」がつきまとう。
このような意味で、2012年は、東アジアの国際政治の環境変化とともに、ふたつの72年体制の今後の在り方について深慮すべき年になるのであろう。
(2011年12月22日 記)