平山郁夫シルクロード美術館、初の本格海外展始まる—敦煌市

文化

日中平和友好条約締結から40周年を記念した平山郁夫シルクロード美術館(山梨県北杜市)初の本格的な海外巡回展「平山郁夫のシルクロード世界」が8月1日、中国甘粛省敦煌市で開幕した。敦煌を描いた平山画伯の作品「敦煌石窟九層楼」と「南壁57窟 敦煌菩薩像仏像」等に加え同館が収集した遺物など計約180点が展示された。会期は8/1(水)~10/31(水)の3カ月間。

8月1日開かれた開幕式

今年9月、中国政府が進める「一帯一路」政策の重要な文化活動である「第3期シルクロード国際文化博覧会」が西安で開催されるため、関係者は今後さらに巡回展への関心が高まると期待している。

平山画伯は日本文化の源流を探って中国などシルクロード上の各地を140回以上訪問し、シルクロードをテーマとした多くの作品・素描を残した。昨年11月敦煌市で開かれた「一帯一路」国際フォーラム後、中国側が平山郁夫シルクロード美術館に対し、同市で所蔵品展示を行うよう提案し、今回の巡回展が実現した。11月以降も1年間かけて中国各地で巡回展示を行う計画。

平山画伯は「シルクロード」を生涯のテーマにしていたが、同時にその沿道における文化遺産保護の重要性に着目。1988年には敦煌及びその関連遺産の保護を目的とした「文化財産保護振興財団」を設立するとともに、敦煌研究院に2億円を寄付した。さらに94年8月、「中国敦煌石窟保護研究基金会」(現在の敦煌研究院博物館)を設立し中国における関連文化遺産保護のための体制作りにも協力した。

日本から敦煌研究院への支援はこれまで、日中友好を推進する象徴的なプログラムとみられてきた。平山郁夫シルクロード美術館は、巡回展が「両国が長期にわたって培ってきた文化・学術交流事業に新たな彩りを添える」と期待している。

巡回展の概要は以下の通り。

  • 【会期】2018年8月1日~10月31日
  • 【会場】敦煌研究院博物館(中国甘粛省敦煌市)
  • 【展示内容】平山郁夫シルクロード美術館所蔵品 約180点
  • 【主催】
    • 中国人民対外友好協会
    • 平山郁夫シルクロード美術館
    • 敦煌研究院

  • 【協賛】
    • 黄山美術社
    • 東京藝術大学

「弥勒菩薩交脚坐像」

「南壁57窟敦煌菩薩像」(平山画伯による模写)

文/編集部 写真・画像/平山郁夫シルクロード美術館提供

バナー写真:「敦煌石窟九層楼」 (平山郁夫シルクロード美術館提供)

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