2020年東京五輪の新エンブレム決まる
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2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会(会長・森喜朗元首相)は4月25日、新たに選んだ両大会の公式エンブレムを最終決定し、公表した。
市松模様モチーフに:「多様性と調和」のメッセージ
採用されたデザインは、東京都在住のアーチスト、野老朝雄(ところ・あさお)さんの「組市松紋」(くみいちまつもん)。日本では江戸時代に「市松模様」として流行したチェッカーデザインを、日本の伝統色である藍色を用いて粋にアレンジしている。
組織委によると、形の異なる3種類の四角形は国や文化・思想などの違いを示す。それらがつながり合うデザインに「多様性と調和」のメッセージを込め、オリンピック・パラリンピックの理念を表したという。
発表会で森会長は「エンブレム委員会で本日、投票の結果一つが選ばれ、理事会でも満場一致で承認された。このエンブレムが今後、大会のシンボルとして親しまれていくよう祈りたい」と語った。
作者の野老さんは「ほんのついさっき、(結果を)知ることになったので、頭が真っ白」「長く時間をかけて作図した、わが子のような作品です」とコメントした。
東京五輪は2020年7月24日から8月9日まで、パラリンピックは8月25日から9月6日まで開催される。
応募総数1万4599件:委員の投票で最終決定
エンブレム制定にあたり、組織委は2015年10月、日本に住む18歳以上のすべての人を対象にデザインを公募することを決定。12月7日に受付を終了したが、応募総数は1万4599件に上った。その後、デザイン専門家や、有識者・著名人で構成された「エンブレム委員会」による審査・選考を経て、16年4月8日に最終候補4作品が発表されていた。
最終選考では、エンブレム委員会の全21人が投票を実施。第1回の投票で、野老さんの「組市松紋」(A案)が過半数の13票を獲得したという。
「白紙撤回」でデザイン再公募
エンブレムは2015年7月、いったんは別のものが採用され、組織委が公表。スポンサー企業が広告などに使用を始めた。しかし、「デザインがベルギーの劇場のロゴと似ている」と指摘され、そのデザインの是非について大きな議論が巻き起こった。
作者が手がけたこれまでのデザインに「引き写し」「模倣」があるとの指摘もネットメディアなどから相次ぎ、組織委は「このままでは国民の理解が得られない」(武藤敏郎事務総長)として9月1日にこのエンブレムを「白紙撤回」していた。
東京五輪エンブレムをめぐる動き
2015年7月24日 | エンブレムのデザインを発表。作者は佐野研二郎氏 |
29日ごろ | デザインがベルギー・リエージュ劇場のロゴに似ているとネット上で話題に |
8月3日 | リエージュ劇場のロゴデザイナーの代理人がエンブレムの使用差し止めを求める文書をJOCに送っていたことが明らかに |
8月13日 | 佐野氏がデザインしたトートバッグ(サントリービールの販促キャンペーン景品)に著作権上の疑義が指摘され、30種類中8種類が発送停止に |
9月1日 | 大会組織委がエンブレムの使用停止と「白紙撤回」を発表 |
10月16日 | 新たなエンブレムデザインの応募要項を発表 |
11月24日 | 応募の受付開始 |
12月7日 | 受付終了。応募総数は1万4599件 |
12月16日 | 審査員によるデザインチェックで64点に候補を絞る |
2016年1月7~9日 | エンブレム委員会による審査 |
4月8日 | 最終候補の4作品を発表 |
4月25日 | 最終審査で新エンブレムを決定 |
取材・文:ニッポンドットコム編集部
バナー写真:2020年東京五輪・パラリンピックの新たな大会エンブレムを発表するエンブレム委員会の宮田亮平委員長(右)と王貞治委員=2016年4月25日、東京都港区 (時事)