熊本城再建に30億円 被災地に民間から支援の手
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避難所に非常用トイレを500台支援
熊本県、大分県で発生した地震は、余震が続き、被災地では混乱が続いている。道路事情の悪化により、一部の避難所では水や食料などの緊急支援物資の配布の遅れが出ているほか、自家用車に避難していた被災者1人がエコノミークラス症候群により亡くなった。また、避難所のトイレ不足も深刻で、特に段差のある仮設トイレは高齢者や障害者が使いづらいなどの問題も起きている。
行政による支援は人命救助や被災地全体の調整が中心となる一方で、民間団体の活動は、特定の要援護者を対象に迅速に支援できることが特徴だ。19日に発表された熊本地震の被災者に対する日本財団の緊急支援策にも、避難所で不足している非常用トイレ500台の提供や、高齢者や障害者など特別な配慮を必要とする方のニーズ調査のための特別車両の投入などが盛り込まれた。
非常用トイレは水を使わずに排泄物を密封して処理することができるタイプで1台約30万円。地震発生翌日の15日から調査を開始したところ、避難所のトイレに対する要望が数多く寄せられた。被災者270人に対して、仮設トイレが2台だけという避難所もあったという。トイレへの不安から水分の摂取を控えるとエコノミークラス症候群など健康に影響することも指摘されており、同財団では迅速な対応が必要だと判断。東日本大震災でも実績のあったメーカーと連絡を取り、在庫の500台をすべて今回の被災地に送ることになった。
被災地復興のシンボルとして「熊本城」早期再建へ
また、熊本城の再建に向けて30億円を準備していることも発表された。東日本大震災の津波被害では、被災地各地の伝統的な祭りで使用する道具が流出したが、日本財団ではその再建に、計約12億円を支援した実績がある。同財団の笹川陽平会長は「被災地のみなさまの心のよりどころである、祭りの復活を支援したことが復興への希望となりました。祭りをきっかけに他県に避難した方が戻ってきたという効果もありました。今回の地震では熊本城を再建することが、地域の方の心の支えになると考え、支援を決定しました」と説明した。このほか、東日本大震災でも行われた100万円を上限としたNPO、ボランティア団体への活動助成や、住宅・事業再建のための資金を融資する「わがまち基金」による支援などが実施される。
1995年の阪神大震災、2004年の中越地震、2011年の東日本大震災など大きな自然災害を経験する中で、日本では民間による災害支援活動のネットワーク化が進んできた。医療、福祉、教育などの専門的な知識を持つ、NPOやボランティア団体が熊本地震でもそれぞれ活動を開始している。
日本財団では現地で活動するNPO、ボランティア団体の活動資金などを応援するための「支援金」の募金を受け付けている。被災者に直接送られる「義援金」とは違い、「支援金」は、炊き出しや食料配布などの避難所での生活支援、障害者や高齢者に対するサポートなどを応援するための資金となる。
関連リンク
バナー写真:屋根瓦などが剥がれた熊本城天守閣=2016年4月16日(時事通信ヘリより)