戦後70年談話で「悔悟」を表明—安倍首相

政治・外交

政府は8月14日、臨時閣議を開き、戦後70年にあたっての安倍晋三首相の「談話」を閣議決定した。談話は、第2次世界大戦に対する歴史認識や戦後70年間の平和国家としての歩みなどに対する政府の見解を明らかにしたもので、歴史認識ではアジア諸国に対する日本の「植民地支配」と「侵略」、さらに、焦点となっていた「おわび」と「痛切な反省」についても言及し、歴代内閣の立場は「揺るぎない」と断言した。

日本政府は、1995年8月、当時の村山富一首相が戦後50年の節目に出した談話で日本の植民地支配と侵略を認め、「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明した。2005年8月の小泉純一郎首相(当時)も、戦後60年目の談話を出し、村山談話を継承した。

安倍首相は談話決定後、記者会見し国内外に向けて内容、意図などについて、「先の大戦への道のり、戦後の歩み、20世紀を振り返り、その教訓の中から未来に向け、世界の中で日本がどういう道を進むべきか深く思索し、構想した」と強調した。

戦後70年談話をめぐっては、安倍首相が2月に設けた有識者懇談会「21世紀構想懇談会」(座長・西室泰三日本郵政社長)が8月6日、議論の内容をまとめた報告書を首相に提出した。報告書は、第2次世界大戦をめぐり、満州事変以降、大陸への「侵略」を拡大し、「無謀な戦争でアジアを中心とする諸国に多くの被害を与えた」との事実を認めた。

安倍談話は、この報告書を踏まえ、歴代内閣の立場を継承しながら「より多くの賛同を得られるものを作った」と説明した。特に、歴代内閣が打ち出した4つのキーワード「植民地支配」「侵略」「反省」「おわび」をすべて盛り込むとともに、「おわび」より強い表現である「悔悟」という言葉を使い、歴史認識に対する日本の立場をより明確にした。

特に、首相は会見の中で「2度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。事変、侵略、戦争、いかなる武力の行使、威嚇も国際紛争を解決する手段において、もう2度と用いてはならない」と述べ、平和国家・日本の立場を重ねて強調するとともに、積極的平和外交を今後とも進めていく意向を表明した。

また首相は、中国、韓国との和解が進んでいないことを前提に、中国については、「(談話の)率直な、ありのままの気持ちを受けとめてもらいたい」と述べるとともに、習近平国家主席との3度目の日中首脳会談の実現への期待を表明した。また、韓国についても、日韓関係間で大きな問題となっている従軍慰安婦問題に関連し、直接的ではないが「戦場の陰で、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性がいたことを忘れてはいけない」と述べるとともに、「計り知れない損害と苦痛を与えた事実、歴史は取り返しのつかない苛烈なものであった」と改めて遺憾の意を表明した。

首相談話の全文は以下の通り

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