2016サミット開催地は志摩市に 伊勢神宮にも近く:日本の「伝統」アピール狙う?

政治・外交

多島美が自慢の海洋リゾート

安倍晋三首相は5日、日本が議長国を務める2016年の主要国首脳会議(サミット)開催地を三重県志摩市とすると発表した。サミット会場になると目される賢島(かしこじま)は、大小多数の島々が優美な景観をつくり出す海洋リゾート。伊勢神宮にも近く、参加国首脳に「日本の伝統」を強くアピールしたいとの思いがあったとみられる。

首相はドイツでのサミットに出発する際、羽田空港で「日本の美しい自然、豊かな文化、伝統を世界のリーダーたちに肌で感じてもらえる場所にしたいと考え、三重県で開催することを決定した。伊勢志摩サミットです」と語った。

サミット開催地には国内の8都市が立候補。志摩市のほか、東日本大震災の被災地である仙台市、原爆の惨禍を受けて核廃絶に取り組んできた広島市が有力候補と言われていた。 

 日本でのサミット開催地

    首相
1979 東京 大平正芳
1986 東京 中曽根康弘
1993 東京 宮沢喜一
2000 沖縄県名護市 森喜朗
2008 北海道洞爺湖町 福田康夫
2016 三重県志摩市  

イセエビと松坂牛:食材の宝庫 

志摩市は紀伊半島の東端にあたる志摩半島に位置し、名古屋から特急(近鉄)で2時間、京都から3時間の距離にある。半島一帯は1946年に伊勢志摩国立公園に指定。沿岸部は典型的なリアス式海岸で、真珠の養殖やサザエ、アワビなどの海女漁が盛んだ。イセエビの本場として知られるほか、カキや天然フグなども有名。三重県は和牛のトップブランド「松坂牛」の産地でもあり、世界に誇れる食材の宝庫だ。 

隣接する伊勢市は、伊勢神宮のおひざ元。20年に1度、内宮の社殿を建て替える「式年遷宮」が1300年もの間続いており、年間の参拝者は内宮、外宮合わせて1000万人を超える。

伊勢神宮の宇治橋と鳥居

志摩市の北側に位置する鳥羽市は、御木本幸吉が1893年に世界で初めて真珠の養殖に成功した地。その小島は「ミキモト真珠島」として、博物館などが設置されている。

紀伊半島の三重県、奈良県、和歌山県にまたがる3つの霊場(吉野・大峰、熊野三山、高野山)と参詣道(熊野参詣道、大峯奥駈道、高野山町石道)は、ユネスコの世界文化遺産となっている。

バナー写真:賢島からの英虞湾の展望

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