自公で3分の2超の326議席確保—2014衆院選

政治・外交

安倍首相、長期政権も視野に

第47回衆議院選挙は12月14日に投開票が行われ、自民党が公示前議席(295)と同程度の290議席を獲得して大勝。さらに当選した無所属1人を追加公認し、最終的には291議席となった。連立与党の公明党は4議席伸ばし、35議席を獲得。自公両党で326議席となり、引き続き衆院の3分の2(317)以上を確保した。

野党は、民主党が73議席と、わずかに議席を伸ばしたものの目標の100議席には届かず、党勢が復調したとはいえない結果に。維新の党も1減の41議席と頭打ちとなった。共産党は躍進し、公示前の2倍以上となる21議席を獲得した。

選挙結果は、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の継続を国民がおおかた信任したことを意味する。首相の政権基盤は極めて盤石となり、今後は長期政権も見据えながら諸政策に腕をふるうことになりそうだ。

党派別獲得議席数

 

  選挙区
295議席
比例区
180議席
合計
475議席
公示前
与党
326
(公示前326)
自民 223 68 291 295
公明 9 26 35 31
野党
149
(公示前153)
民主 38 35 73 62
維新 11 30 41 42
次世代 2 0 2 20
共産 1 20 21 8
生活 2 0 2 5
社民 1 1 2 2
改革 0 0 0 0
諸派 0 0 0 0
無所属 8 0 8 14

定数は今回から5減。公示前は欠員1。解散後の党派異動を含む。
自民は当選後の追加公認1を含む。2014年12月15日午前の段階

民主伸び悩み、第3極は衰退

自民党は単独で、衆院の常任委員長を独占したうえで、委員数でも過半数を占める「絶対安定多数」の269を大幅に上回る議席を引き続き確保。前回圧勝した小選挙区で議席を減らしたものの、比例代表では躍進し、前回(57議席)を超える68議席を手にした。

「アベノミクスからの転換」を訴えた野党第1党の民主党は、議席を若干上積みしたものの、海江田万里代表が落選。党代表の辞任が不可欠な状況となった。

維新の党は、比例得票を何とか維持して前回並みの議席を確保した。「日本維新の会」から石原グループが分離した次世代の党、小沢一郎・元民主党幹事長が率いる生活の党は、いずれも比例の議席ゼロとなり惨敗。みんなの党は衆議院解散直前に解党しており、前回2012年の衆院選で注目された、いわゆる「第3極」は衰退した。

安倍政権への批判票が流れたのは共産党。「消費税増税の中止」「原発再稼働ストップ」などを掲げて選挙戦を戦い、躍進した。

争点見えず、投票率は過去最低に

今回選挙は、安倍晋三首相が11月18日、消費税増税の先送りを発表するとともに、「重い決断をする以上、速やかに国民に信を問う」として、突然の衆議院解散・総選挙実施を表明。野党の選挙準備が整わない「1強多弱」の中、自民圧勝が予測されていた。

確たる争点が見えにくく、何かとあわただしい年末選挙ということもあり、有権者の関心も低いまま。主要全国紙・通信社の推計によると、小選挙区の平均投票率は過去最低の前回(59.32%)をさらに下回る52%台となりそうだ。

沖縄だけは「自民党にノー」

全国で「自民党一人勝ち」となる中、米軍普天間基地の名護市辺野古移設問題に揺れる沖縄県だけは反自民の風が吹いた。移設反対する翁長雄志(おなが・たけし)氏が11月の沖縄県知事選で当選した流れを受け、県内4選挙区すべてで「非自民」候補が勝利。沖縄1区では共産党の前職、赤嶺政賢(あかみね・せいけん)氏が当選し、共産党としては全国の小選挙区で18年ぶりとなる議席を獲得した。

「疑惑」候補は当選、渡辺喜美氏は涙のむ

松島みどり前法相(自民・東京14区)、小渕優子前経産相(自民・群馬5区)など、「政治とカネ」の問題などが取りざたされた候補はいずれも議席を確保。政治資金の親族企業への還流疑惑がある西川公也農水相(自民・栃木2区)は小選挙区で敗れたが、比例北関東ブロックで復活当選した。

無所属で立候補した渡辺喜美・元みんなの党代表(栃木3区)は、自民候補に敗れて議席を失った。東京比例ブロックから立候補していた、次世代の党の石原慎太郎氏も落選した。

タイトル写真:当確の花が並ぶ様に満足げな自民党総裁の安倍晋三首相=2014年12月14日夜、東京・永田町の自民党本部(時事)

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