2019年のサンマの水揚げ、過去最低に : 原因は温暖化?ライバルの出現?
経済・ビジネス 社会 環境・自然
脂が乗って旨いうえに、価格もお手頃。サンマの塩焼きは、秋になると家庭の食卓に並ぶ庶民派メニューの代表格だった。ところが、サンマの水揚げが最盛期の1割以下まで激減しているという。そのうち、庶民には手の届かない魚になっちゃう?
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全国さんま棒受網漁業協同組合によると、2019年の全国のサンマ水揚げ量が前年比66%減の4万517トンで、統計開始以来、過去最低となった。主要産地別では、北海道が63%減の2万1364トン、宮城県が70%減の9943トン、岩手県が66%減の8086トンだった。
サンマは北太平洋の温帯・亜寒帯域に広く生息しており、日本のサンマ漁は、その一部が近海に来遊するのを待ち構えて漁獲している。1950年代後半から60年代前半にかけては、年間水揚げ量が40万~60万トンに達することもあったが、90年以降は30万トンを超えることはほとんどなく、特に、2010年以降の落ち込みが激しい。
水揚げの低迷については、温暖化による海水温上昇の影響や、回遊するサンマが日本の漁場にたどり着く前の公海上で操業する中国や台湾の大型漁船の漁獲量が増加しているためとの指摘もある。
水産庁がまとめた「国際漁業資源の現況」(2018年度版)によると、1980年以前は北太平洋でサンマ漁をしていたのは日本とロシア(旧ソ連)のみで、実質的に日本がサンマ資源を独占していた。ところが、その後、韓国、台湾、中国もサンマ漁を開始。特に、台湾は2000年代に入って漁獲量が急増し、2013年以降は日本を上回るようになっている。日中台など8カ国・地域は、資源管理のため、2019年7月に、主要漁場の北太平洋での20年の漁獲上限を55万トンとすることで合意した。しかし、ここ数年は世界の漁獲量が50万トンにも届いておらず、有効性には疑問を呈する声もある。
果たして、今年の秋は美味しいサンマが食べられるのか?
バナー写真 : PIXTA