【Photos】出雲大社--神々と出会う場所
文化
出雲は、日本の国づくりが始まったとされる古事記の時代から、日本人にとって“聖地”であり続けている。なぜ、八百万(やおよろず)の神はこの地を選んだのだろうか。中野晴生が切り取った写真からその答えが見えてくる。
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「日本の尊称は『神国』、その中心で最も清浄の地は出雲である」
1890年に来日したギリシャ生まれのイギリス人、ラフカディオ・ハーンは『日本瞥見記(べっけんき)』の中でそう記した。彼は、「出雲大社」の近くに居を構え、この土地を「神々とともに生きる人々が暮らす処」と言い表し、後に日本に帰化して小泉八雲と名乗った。日本の伝統文化をこよなく愛し、数々の著書を残している。
私自身も、幾度となく出雲大社を訪ねてきたが、出雲大社を包む清々しい大気の中に、いつも特別な“気配”を感じる。朝、昼、夜、そして春夏秋冬。撮影を重ねるたびに風景は変化するが、そうした自然の姿に偉大なる生命「神」を見出しているのかもしれない。神とともにあることは、自然とともにあること。自然を敬い、自然と共生することが、日本人の精神的支柱であることを、出雲大社はあらためて教えてくれる。
神在月(かみありづき)には日本中の神様が集まるといわれる出雲大社。その出雲大社の神殿が2013年、60年振りに新しくなった。季節が繰り返すように、神殿も再生を繰り返すことで、永遠の存在となる。
日々通う中で、私が出会った出雲大社の姿を紹介することで、永遠に漂う神の気配を感じでいただけることを心より願っている。
撮影と文=中野 晴生