日本の新たな台所、豊洲市場へ行こう!:「見学者コース」紹介
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駅から専用通路で直行できる豊洲市場
築地市場(中央区)から83年ぶりに移転し、昨年10月に開場した「日本の台所」豊洲市場は、既に人気の観光スポットとなっている。日曜・祝日や水曜の休市日以外(※1)、午前5時から午後5時まで、入場無料の「見学者コース」を巡ることができるのだ。
訪れるには朝早めに起きて、新交通「ゆりかもめ」の「市場前」駅で下車するのがおすすめ。目の前には近代的なビルが左右に広がる。市場は道路で3分割されており、青果棟がある5街区と水産仲卸売場棟がある6街区、7街区には水産卸売場棟や管理施設棟がある。
改札階からは、各棟につながる高架式の専用通路が設けられている。改札から出て通路を左前方へ進めば、7街区の管理施設棟3階に直行可能だ。入り口を抜けると、まずは飲食エリアがあり、6軒のすし店をはじめ、とんかつ店やイタリアン、コーヒーショップなどが営業し、一般客のほか市場関係者も朝食をとる姿が見られる。その奥はPRコーナーで、卸売市場の歴史や仕組み、豊洲市場の特徴などを展示パネルと写真で学べる。
迫力あるマグロの競りを見学
管理施設棟には3階から水産卸売場棟の2階に通じる連絡通路があり、卸売場棟に入ると豊洲市場を500分の1に縮小した模型が展示されている。左側には巨大なクロマグロのオブジェがお出迎え。1986年4月に築地市場に入荷した496キロ、体長2メートル88センチという同市場最大のマグロを原寸大で再現。その前にはたくさんの人だかりができ、記念撮影は順番待ちになることもしばしばだ。
その先を行くと、日本橋市場が関東大震災を機に築地に移転した経緯などを示す資料が展示され、市場の歴史を写真で振り返ることができる。左側の窓越しには1階のマグロ卸売場を見渡せ、早朝なら真っ白な冷凍マグロが整然と並んでいる。一本一本競りにかけられる場面が見られ、多くの見学者が窓際にくぎ付けとなっている。
見学通路のほか、2019年1月15日からは1階に下りる直前にある専用デッキで、冷凍マグロなどの見学が可能になった。利用は築地の先着制からWEBでの事前申込制に変更され、半月以上前に見学希望日や見学者の名前を登録してエントリー。応募が定員120人を超えた場合は抽選になる。見学時間は5時45分~6時15分。最大60人ずつの2交代制。
見学デッキは高さ約2メートル。2階通路から見下ろすのとは異なり、間近で競りを見学できる。前面はガラス張りだが上部が少し空いているため、競りの開始を告げる鐘の音や、競り人などの掛け声が聞こえる。市場特有のにおいもして臨場感たっぷりだ。
(※1) ^ 休市日は東京都中央卸市場公式ホームページで確認してください
豊洲グルメが堪能でき、プロ用調理器具も手に入る
マグロ見学を終えて管理施設棟へ戻り、再びゆりかもめにつながる通路に出ると、南側にある水産仲卸売場棟3階に行くことができる。中へ入ると、管理施設棟飲食エリアの2倍ほどのスペースに、二十数件のすし店などが軒を連ねている。
築地市場でもトップレベルの人気だった「寿司大」をはじめ、8軒のすし店が営業。このほか和食店や、とんかつ、牛丼、カレー、コーヒーショップなど、築地からの人気店の味が新市場で味わえる。市場内とあってすしはどの店も新鮮でおいしい。値段は3000~4000円(1人前)といったところ。安くはないが市場関係者も納得のクオリティーで、市場に来たらぜひどこかですしを食べるのがおすすめだ。
飲食店エリアを出て専用通路を水産仲卸売場棟の奥へ進むと、見学ギャラリーがあり、市場内の荷物運搬で活躍する小型運搬車「ターレ」に乗って記念撮影もできる。
その1つ上の階、4階は「魚がし横丁」。ここも一般客が入ることができるので、立ち寄ってみると面白い。このフロアは食品をはじめ、主に業務用のさまざまな資材がそろう、プロにとってはありがたい商店街だ。
食品ではワサビや漬物、玉子焼き、のりや珍味などの乾物、さらにコンブやかつお節といっただし関連の商品も充実。和食店の必需品がそれぞれの店頭に並ぶ。一方、市場の仲卸で調達できない生鮮品、牛肉や豚肉を扱う店もあり、スパイス専門店や酒、米、多種類のチーズなども販売されている。
プロ向けの道具では、職人が使う包丁や魚市場に欠かせないゴム長靴も豊富な品ぞろえ。食品容器や包装用品、のれんなども築地時代から店の要望に沿った販売を続けているが、一般向けにも販売してくれる。家庭で便利に使えるプロ仕様の商品にも巡り合えるかもしれない。
魚介類や青果物が購入できるイベントも開催
仲卸売場は「卸売り」が原則のため、残念ながら一般客が魚を買うことは認められていない。ただ、魚を買ったり食べたりできるイベントが行われている。
5街区の青果棟前では、2019年1月12日から「豊洲市場Oishii(おいしい)土曜マルシェ」が毎週土曜日に開催されている。豊洲市場に入荷した新鮮なマグロやアジ、サバ、マダイといったさまざまな種類の店頭販売が行われおり、「豊洲フレッシュグリーンマルシェ」では、市場に直送された上質な野菜、果物も買うことができる。
サザエをはじめとした高級魚介の炭火焼きが味わえる「豊洲シーフードバーベキュー」が用意されているほか、天然ブリと旬の野菜の汁物が食べられる「達人シェフによる豊洲鍋」が販売され好評となっている。
さらに、日本最大のフードトラックプラットフォーム「TLUNCH」からは、人気店が週替わりで豊洲市場限定メニューを提供。新鮮な魚介類や野菜を買ったり食べたりでき、市場に一層のにぎわいを生み出してきた。このイベントは3月30日までだが、4月からは水産仲卸棟に隣接するスペースで、同じようなイベントが開催されることになっている。
青果棟内はモダンな雰囲気。入り口近くの見学通路には12のガラス面があり、その側面は1~12月までの旬な野菜や果物の色で彩られている。突き当りを曲がると展示パネルがあり、一番奥にはフローリングの床にガラス張りの見学者デッキがある。こちらも早めの時間に行けば競りの様子を見ることが可能。青果棟への専用通路の下には飲食店が3軒あり、寿司大と双璧をなす人気の「大和寿司」には早朝から多くの人が並ぶ。市場関係者の間では築地時代から、この大和寿司が一番と太鼓判を押す人も少なくない。
予約なしでも、見て食べて買って楽しめる豊洲市場。いろいろな魅力が詰まっているだけに、人気はますます高まりそうだ。
●アクセス
新交通ゆりかもめ「豊洲」駅から約4分、「新橋」駅から約28分の「市場前」駅下車、徒歩すぐ
文=川本 大吾(時事通信社水産部長)
写真=三輪 憲亮
(バナー写真:水産卸売場棟にある巨大なクロマグロのオブジェ)