東北の早春を彩る梅の名所:青森・岩手・秋田編

豪雪地帯も多い北東北では、「春告草(はるつげぐさ)」とも呼ばれる梅の開花を人々は待ちわびる。見事な梅が咲き誇る青森県「津軽フラワーセンター」、岩手県「盛岡城跡公園(岩手公園)」、秋田県「大屋梅林と屋敷梅」を紹介する。

津軽フラワーセンター:青森県五所川原市

例年の見頃:4月下旬~5月上旬

「北限の梅林」と呼ばれる津軽フラワーセンター 写真提供:五所川原市観光協会
「北限の梅林」と呼ばれる津軽フラワーセンター 写真提供:五所川原市観光協会

青森県五所川原(ごしょがわら)市の「津軽フラワーセンター」は、標高142メートルの小高い山にある自然公園。約10種類、1400本の梅の木が植えられ、「北限の梅林」と呼ばれる。可憐な白い花や濃淡さまざまなピンク色の花が一斉に咲き誇る。

五所川原(旧金木村)は作家・太宰治が生まれ育った土地でもある。太宰が小説『津軽』で「津軽では、梅、桃、桜、林檎、梨、すもも、一度にこの頃、花が咲くのである」と書いたように、梅と同じ時季に桜も咲きそろう。木々の間から望む名峰・岩木山との協演も素晴らしく、見頃となるゴールデンウイークには多くの見物客でにぎわう。

岩木山と梅との美しいコントラストを楽しめる 写真提供:五所川原市観光協会
岩木山と梅との美しいコントラストを楽しめる 写真提供:五所川原市観光協会

●アクセス
JR五能線「五所川原駅」から車で約20分


盛岡城跡公園:岩手県盛岡市

例年の見頃:3月下旬~5月下旬

石垣を背景に咲くしだれ梅 写真提供:(公財)岩手県観光協会
石垣を背景に咲くしだれ梅 写真提供:(公財)岩手県観光協会

岩手県盛岡市にある「盛岡城跡公園(岩手公園)」は、南部藩主の居城だった盛岡城の旧跡。花こう岩を使い野面(のづら)積みなどさまざまな積み方によって築かれた石垣は、東北屈指の規模を誇る。現在は市民の憩いの場として整備され、約1000本の梅が植えられた梅林が見どころの一つ。

周辺にはかぐわしい香りが漂う 写真提供:盛岡観光コンベンション協会
周辺にはかぐわしい香りが漂う 写真提供:盛岡観光コンベンション協会

美しい薄紅色の花を咲かせる豊後(ぶんご)梅、優雅に枝を垂らすしだれ梅、小ぶりな花がかわいらしい白梅の3種類の梅が咲き、それぞれに異なる美しさを堪能することができる。苔むした石垣の重厚感のあるたたずまいと、艶やかに咲き乱れる梅の花とのコントラストも面白い。

梅の時季を過ぎると間もなく、4月下旬からは桜が見頃を迎える。その年の気候によっては、梅と桜の両方を楽しむこともできる。

●アクセス
JR「盛岡駅」から盛岡都心循環バス『でんでんむし』で約5分の「盛岡城跡公園」下車、徒歩すぐ


大屋梅林と屋敷梅:秋田県横手市

例年の見頃:4月中旬~下旬

約1200年の歴史をもつ梅の名所。写真は、大屋梅の元祖といわれる「江津の庭梅」 写真提供:横手市観光協会
約1200年の歴史をもつ梅の名所。写真は、大屋梅の元祖といわれる「江津の庭梅」 写真提供:横手市観光協会

古くから梅の里として知られる、秋田県横手市の大屋地区。約1200年前、鎮守府将軍・小野春風(おののはるかぜ)の東北遠征に同行した2人の家臣がこの地に住み着き、屋敷の庭に梅の木を植えたと伝わる。大規模な梅林ではなく、地域内の民家の軒先に「屋敷梅」としてたくさんの梅が植えられているのが特徴だ。

今から100年ほど前の大正時代には樹齢400~500年にもなる梅の木が1000本以上あったとされるが、現在見られるのは約600本。見頃になるとあちこちで淡いピンク色の花がほころび、辺りは華やかな香りに包まれる。なかでも梅の古木が立ち並ぶ正伝寺(しょうでんじ)の周辺は特に見応えがあり、華麗な花を咲かせる堂々とした姿は歴史の重みを感じさせる。

風格ある正伝寺入り口近くの梅の古木 写真提供:横手市観光協会
風格ある正伝寺入り口近くの梅の古木 写真提供:横手市観光協会

●アクセス
JR奥羽本線「柳田駅」から徒歩約15分

※見頃の時季や咲き方は気象条件などにより異なる場合があるため、事前にご確認ください。

取材・文=シュープレス

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