東北の早春を彩る梅の名所:宮城・山形・福島編

桜よりもひと足早く咲く梅は、上品な美しさと甘い香りで、冬の寒さが残る東北に春の訪れを伝える。南東北の梅名所である宮城県「瑞巌寺の臥龍梅」、山形県「湯田川 梅林公園」、福島県「西田町 梅の里」を紹介する。

瑞巌寺「臥龍梅」:宮城県松島町

例年の見頃:4月上旬~中旬

本堂の前庭に紅白の梅が咲く 写真提供:瑞巌寺
本堂の前庭に紅白の梅が咲く 写真提供:瑞巌寺

宮城県松島町にある「瑞巌寺(ずいがんじ)」は、828年に慈覚大師円仁(じかくたいしえんにん)が開山し、1609年に伊達政宗が再興した寺。その前庭にある「臥龍梅(がりゅうばい)」は、政宗が1592年の朝鮮出兵の際に鉢植えにして持ち帰り、瑞巌寺上棟を祝して自ら手植えしたと伝わる2本の梅の古木だ。本堂に向かって右側に高さ8メートルの紅梅、左側に高さ6メートルの白梅があり、いずれも県指定天然記念物となっている。

臥龍梅の名は、その幹や枝が地面に伏せて這う龍の姿に似ていることに由来。紅白の梅は互いに競い合うように咲き、境内に華やかな彩りを添える。力強い生命感にあふれた古木の美しさをじっくりと鑑賞したい。

●アクセス
JR仙石線「松島海岸駅」より徒歩5分、JR東北本線「松島駅」より徒歩20分


湯田川温泉「梅林公園」:山形県鶴岡市

例年の見頃:3月下旬~4月下旬

温泉街を眼下に望む公園が梅の花に彩られる 写真提供:湯田川温泉観光協会
温泉街を眼下に望む公園が梅の花に彩られる 写真提供:湯田川温泉観光協会

開湯1300年の歴史を持ち、江戸時代には庄内藩藩主の湯治場としてにぎわった山形県鶴岡市の湯田川(ゆたがわ)温泉。その街並みを見下ろすように広がる「湯田川温泉 梅林(ばいりん)公園」は、県内屈指の梅の名所だ。竹林に囲まれた園内には約300本の紅梅と白梅が花を咲かせ、一帯に梅の甘い香りが漂う。

見頃の時季には「梅林公園梅まつり」が開催され、湯田川温泉の旅館の女将たちが屋外で抹茶を提供する野点(のだて)を楽しめるほか、伝統芸能である湯田川温泉神楽(かぐら)の上演も行なわれる。2019年は4月6~7日に開催予定。温泉街には日帰り入浴ができる宿もあるので、梅林を散策した後にゆっくりと体を休めるのもよいだろう。

園内には約300本の紅白の梅が美しく咲き誇る 写真提供:湯田川温泉観光協会
美しく咲き誇る梅を鑑賞した後は温泉を楽しもう 写真提供:湯田川温泉観光協会

●アクセス
JR羽越本線「羽前水沢駅」より車で約20分


西田町「梅の里」:福島県郡山市

例年の見頃:4月中旬

梅とレンギョウのコントラストが見事 写真提供:一般社団法人 郡山市観光協会
梅とレンギョウのコントラストが見事 写真提供:(一社)郡山市観光協会

福島県郡山市の西田地区では、地域づくりの一環として30年ほど前から梅の植樹が進められてきた。約1万2000本もの梅の木が立ち並ぶ「梅ロード」では、春になっても頂に雪が残る安達太良山(あだたらやま)を背景に、白やピンクのかわいらしい花が一面に咲き乱れる。同じ時季に、黄色の花が鮮やかなレンギョウや菜の花も満開となり、色とりどりの花々が織り成す風景はさながら桃源郷のような美しさだ。時折聴こえてくるウグイスの鳴き声にも心癒される。

花の時期に合わせて「梅の里まつり」が開催され、2019年は4月7日を予定。梅干しや梅ジュースなど梅を生かした手作りの加工品が販売されるほか、名物イベント「梅の種飛ばし大会」も行なわれる。

梅ロードでは1万本以上の梅の木が花を咲かす 写真提供:一般社団法人 郡山市観光協会
梅ロードでは1万本以上の梅の木が花を咲かす 写真提供:(一社)郡山市観光協会

●アクセス
JR「郡山駅」より車で約30分、JR磐越東線「三春駅」より車で約10分

※見頃の時季や咲き方は気象条件などにより異なる場合があるため、事前にご確認ください

取材・文=シュープレス
(バナー写真=「梅ロード」で梅とレンギョウをめでながら犬の散歩 写真提供:一般社団法人 郡山市観光協会)

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