「脚折雨乞」龍蛇づくりフォトギャラリー
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文化
埼玉県鶴ケ島市で行われるユニークな降雨祈願の祭り「脚折雨乞(すねおりあまごい)」。その主役となる巨大な龍神は、地域住民たちの手でつくり上げられる。2012年開催時に製作風景を追った宗形慧氏の写真で、地域につながりを生む技術継承の現場を振り返る。
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新旧住民に郷土文化を伝承する龍蛇づくり
2013年に「第17回 ふるさとイベント大賞」(主催=一般財団法人地域活性化センター)に輝いた埼玉県鶴ケ島市の奇祭「脚折雨乞(すねおりあまごい)」。その受賞理由は、祭りのユニークさだけでなく、住民が力を合わせて行う、龍蛇(りゅうだ)の製作過程が含まれている。龍蛇は、祭り当日の「入魂の儀」によって「龍神」に生まれ変わり、神事の主役となる。
長さ36メートル、重さ3トンという龍蛇は、地域住民の手づくりで、その材料も自分たちで調達する。龍蛇の体を形づくるのは、骨組みの孟宗竹70本、肉となる麦わら570束、うろこ代わりのクマザサなど。最近では、麦を栽培する農家が少なくなったため、地元住民が結成した脚折雨乞行事保存会が栽培している。
「脚折雨乞」は一度途絶え、4年に1度の開催ということで龍蛇の製作技術の伝承が難しい。また、脚折地区は都市化が進んでおり、新しく移り住んできた人も多い。そこで、保存会が年に数回「龍蛇の製作技術講習会」を行って、新旧住民が技術と心の交流ができる場としている。
龍蛇は約300人の老若男女が1日半でつくり上げ、龍神となった後はたった半日で儚(はかな)くも解体される。しかし、龍蛇づくりと祭りを通して深まった新旧住民の絆によって、郷土色豊かな文化は今後もしっかりと伝承されていくだろう。