神社に行こう!

神社に行こう! 神社空間を読み解く⑨本殿

文化 暮らし

神社空間は、鳥居、注連縄(しめなわ)、狛犬、本殿などさまざまなパーツによって構成されている。そこに込められた意味を知ることで、神社への理解度がぐっと深まるはずだ。この連載シリーズでは、毎週火曜日と木曜日に、鳥居から社務所に至るまで12の神社アイテムを参拝の順に紹介していく。

本殿(ほんでん)

祭神が祀られている中心施設で、最も神聖な場所。

祭神の系統ごとに多種多様な建築様式があるが、原点は、出雲大社の大社造と、伊勢神宮の神明造の二種。大社造りは古代の家屋を模したもの、神明造りは同じく倉を模したものとされる。

本殿の屋根には千木(ちぎ)と鰹木(かつおぎ)が載っている。千木は、屋根の両端に交差して天に向かってそそり立っている軸木。鰹木は、屋根の頂に並んでいる鰹節のような形の木片である。神社建築には多くの種類があるが、千木・鰹木の両方あることが古い様式とされている。これは神社建築の象徴であり、重要な記号である。

しかしこれは、実は単なる意匠・デザインではない。そこには重要な意味が体現されている。千木には二種類ある。内削(うちそ)ぎと外削(そとそ)ぎ、である。先端を水平に削るのが内削ぎ、垂直に削るのが外削ぎだ。内削ぎの千木がそびえる社殿には、女神が祀られている。外削ぎの千木がそびえる社殿には、男神が祀られている。

千木

鰹木にも二種類ある。偶数と奇数である。偶数は女神、奇数は男神を祀る。したがって、内削ぎの千木には鰹木は偶数本であり、外削ぎの千木には鰹木は奇数本であり、ごく少数の例外を除いて、それは社殿建築の大原則である。

なお、拝殿のみで本殿のない神社も少なからずある。とくに本殿のない神社は、古い創建のものに多く、拝殿を通して神体山や神木そのものを拝するようになっている。三輪山の大神(おおみわ)神社、守屋山の諏訪大社本宮、御室(みむろ)山の金鑚(かなさな)神社などが有名。

田島神社(佐賀県唐津市)の本殿

長田神社(兵庫県神戸市)の本殿

都農(つの)神社(宮崎県都農町)の本殿

(バナー写真:都農神社の本殿)

写真=中野 晴生
イラスト=井塚 剛

第10回は「神木」です。続けてご覧ください。
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