東芝の臨時総会が株主提案を可決、日本の企業統治に「画期的」
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[東京 18日 ロイター] - 東芝は18日、臨時株主総会を開き、昨年7月に開催した定時総会の運営の適正性について独立した調査を求める筆頭株主エフィッシモ・キャピタル・マネジメントの株主提案を可決した。コーポレートガバナンス(CG、企業統治)の専門家からは、日本企業のCGにとって「画期的な出来事」との受け止めが出ている。
決議に基づく調査の期間は3カ月で、調査結果は報告書にまとめ公表する。調査者として、前田陽司氏と木崎孝氏、中村隆夫氏の3人の弁護士を選任した。調査範囲は、東芝と協議して決める。
東芝の昨年の定時総会を巡っては、一部の議決権が結果に反映されなかったほか、経済産業省の当時の参与が米ハーバード大学の基金運用ファンドに干渉していたことが関係者の話で分かったとロイターが報じていた。
臨時総会では、東芝の豊原正恭副社長が「昨年の定時総会で議決権を行使しなかった大株主から、ある人物から定時総会前に接触があった結果、議決権を行使しなかったと連絡を受けている」と明らかにした。接触した人物の氏名や具体的な接触の内容は明らかにされなかったという。
東芝は、エフィッシモの株主提案に対し、すでに自社で調査を実施済みとして反対していた。
エフィッシモは、臨時総会での提案可決について「(株主が)監査委員会による調査では実態が明らかにされていないとの懸念を抱いたため」とのコメントを発表。「東芝の役員は法的に調査協力義務を負う。調査に全面的に協力することで、株主との信頼関係の再構築に努めてほしい」と呼びかけた。
公益社団法人会社役員育成機構のニコラス・ベネシュ代表理事は、大企業の多くの大口投資家が、臨時株主総会で株主の提案内容がひたすら合理的であるというシンプルな理由で賛成票を投じた初めての事例だとし、「日本のコーポレートガバナンス(企業統治)にとって画期的な出来事だ」と指摘する。ベネシュ氏は今後、アクティビストが臨時総会をさらに利用する可能性があるとみている。
株主対応のコンサルティングを手掛けるアイ・アールジャパンによると、日本でアクティビストの株主提案が可決した事例は今回の東芝を含め4社。2014年以降では、アクティビストから株主提案があった延べ80社のうち、可決した事例は3社にとどまる。
臨時総会では、資本政策を巡る米ヘッジファンドのファラロン・キャピタルの株主提案は否決した。ファラロンは、東芝が小規模な企業買収・合併(M&A)を通じて成長を目指すとした戦略を変更したと指摘し、資本政策を株主の承認事項にするよう求めていた。東芝側は、成長戦略を変えた事実はないなどとして反対していた。
東芝は臨時総会終了後に「株主の総体的意思を真摯に受け止める」とのコメントを発表。株主提案の可決を踏まえて「調査に誠実に協力し、引き続き経営の透明性の一層の確保を図っていく」との姿勢を示した。
*内容を追加しました。
(平田紀之 取材協力:山崎牧子 編集:内田慎一)