2024年の スポーツニュースを振り返る

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米大リーグ・大谷翔平とドジャースの活躍に日本中が熱狂、パリ五輪の陸上女子やり投げで北口榛花が、パラリンピックの男子車いすテニスで初出場の小田凱人が金メダル獲得など、2024年の主なスポーツニュースを振り返る。

ドジャース大谷に日本中が声援

米大リーグ(MLB)のプロ野球選手、大谷翔平は24年シーズン、ナ・リーグの強豪ロサンゼルス・ドジャースに移籍。右ひじの手術から復帰し、指名打者に専念した。好調な打撃に加え、積極的な走塁で盗塁も重ね、MLB初の「1シーズン50本塁打、50盗塁」という偉業を達成した。本塁打王と打点王の2冠を獲得し、2年連続3度目の最優秀選手(MVP)に輝いた。ドジャースは、ワールドシリーズでヤンキースを4勝1敗で破り、世界一に。とどまるところを知らぬ大谷の活躍に、日本中が沸いた。

大谷は2月、結婚を発表。お相手は23年に引退した日本のバスケットボール選手、田中真美子さん。3月には専属通訳の水原一平氏がチームを解雇され、4月に銀行詐欺容疑で連邦検察に刑事訴追されるという事件があった。

日本のプロ野球選手は今季、新たに山本由伸(オリックス)がドジャース、今永昇太(DeNA)がカブス、松井裕樹(楽天)がパドレスへ移籍し、MLB で活躍した。パドレスのダルビッシュ有は5月、野茂英雄と黒田博樹に次いで史上3人目となる日米通算200勝を達成した。

パリ五輪で日本選手団が活躍

パリ五輪(7月26日~8月11日)で、日本選手団は金20、銀12、銅13と、海外で開かれた五輪として過去最多のメダルを獲得した。女子やり投げの北口榛花選手は、陸上のフィールド種目では日本女子初のメダルとなる金を獲得。体操男子団体では、最終種目の鉄棒で中国を逆転し、2大会ぶりの金メダル。柔道男子66キロ級の阿部一二三、81キロ級の永瀬貴規は、東京に続く五輪連覇を成し遂げた。馬術の総合馬術団体では銅メダルを獲得。馬術でのメダルは1932年のロサンゼルス大会以来92年ぶり。

パリ五輪の陸上女子やり投げで金メダルを獲得し、日の丸を掲げる北口榛花=2024年8月10日、フランス・サンドニ(時事)
パリ五輪の陸上女子やり投げで金メダルを獲得し、日の丸を掲げる北口榛花=2024年8月10日、フランス・サンドニ(時事)

パラでは東京大会超える金14個

パリ・パラリンピック(8月28日~9月8日)で、日本選手団は金14、銀10、銅17のメダルを獲得。21年の東京大会(13個)を上回る金メダルを日本に持ち帰った。過去2大会銅メダルだった車いすラグビー(混合)は今回、決勝で強豪の米国を破って初優勝を果たした。ゴールボール男子も初めての金メダル。車いすテニス・シングルスは男子の小田凱人、女子の上地結衣がともに優勝を勝ち取った。バドミントン男子シングルス(WH2/車いす)は、梶原大暉が東京大会に続く連覇。自転車・女子個人ロードレース(C1-3)は53歳の杉浦佳子が大接戦を制して東京大会からの連覇達成。自身がもつパラリンピック金メダル獲得の日本最年長記録を更新した。

卓球女子団体、50年ぶり中国破りV:アジア選手権

カザフスタンで10月に行われた卓球のアジア選手権で、日本は女子団体決勝戦で中国に3-1で勝ち、2021年以来となる2大会ぶりの優勝を果たした。中国が出場した大会での優勝は、1974年の横浜大会以来、50年ぶりの快挙となった。メンバーは早田ひな、平野美宇、張本美和、大藤沙月、伊藤美誠の5選手。決勝では張本が2勝を挙げ、チームを頂点に導いた。男子シングルスでは張本智和が優勝し、日本勢として50年ぶりに同種目を制覇した。

卓球のアジア選手権で金メダルを獲得し、帰国した張本智和(左)と妹の美和=2024年10月15日、東京・羽田空港(時事)
卓球のアジア選手権で金メダルを獲得し、帰国した張本智和(左)と妹の美和=2024年10月15日、東京・羽田空港(時事)

プロ野球は「下剋上」DeNAが日本一に

日本のプロ野球は今季、セ・リーグは読売ジャイアンツ(巨人)、パ・リーグは福岡ソフトバンクホークスが、ともに4年ぶりにリーグを制覇した。日本シリーズは、リーグ3位からクライマックス・シリーズを勝ち上がった横浜DeNAベイスターズとソフトバンクが対戦。DeNAが4勝2敗で制し、26年ぶりの日本一に輝いた。シーズン最優秀選手(MVP)は、セが菅野智之投手(巨人、4年ぶり3度目)、パは近藤健介外野手(ソフトバンク、初)が選ばれた。

第3回となる野球の国際大会、WBSCプレミア12が11月に日本と台湾、メキシコで開催され、日本代表(侍ジャパン)はグループBを5勝、スーパーラウンドを3勝して1位通過。決勝は台湾に0-4で敗れ、連覇を逃した。日本は2019年から続いていた国際大会での連勝が「27」で止まった。

サッカーJ1は神戸が2連覇

サッカーJ1のリーグ戦は12月8日、最終節までもつれた優勝争いをヴィッセル神戸が制し、2連覇を果たした。2位はサンフレッチェ広島、3位はJ1昇格1年目のFC町田ゼルビア。MVPには13ゴール10アシストと活躍した神戸のFW武藤嘉紀が選ばれた。Jリーグカップは名古屋グランパスが優勝、天皇杯はヴィッセル神戸が5大会ぶり2度目の優勝を果たした。

パリ五輪で、男子サッカーの日本代表(U-23)はグループDを3勝負けなしで通過。準々決勝でスペインに0-3で敗れた。女子代表(なでしこジャパン)はグループCを2勝1敗で2位通過。準々決勝で米国に0-1で敗れた。

サッカーW杯2026のアジア最終予選C組で、日本代表は11月19日に中国を3-1で下し、ここまでの6試合を5勝1分けで首位をキープ。8大会連続の本大会出場に王手をかけた。

大相撲:大の里が躍進し大関に

大相撲1月場所(初場所)は、一人横綱の照ノ富士(伊勢ヶ浜部屋)が関脇琴ノ若との優勝決定戦を制し、13勝2敗で4場所ぶり9回目の優勝を果たした。琴ノ若は大関昇進が決まった。

日本相撲協会は2月、宮城野親方(元横綱・白鵬)に対し、弟子の幕内北青鵬の暴力行為の監督責任を問い、2階級降格と減俸の懲戒処分を決めた。北青鵬は引退。宮城野部屋の全員が4月、同じ一門の伊勢ケ浜部屋に転籍した。

3月場所(春場所)は、新入幕の尊富士(24)が13勝2敗で初優勝。新入幕での優勝は実に110年ぶり。大関琴ノ若は4月、「琴桜」に改名。5月場所(夏場所)は小結大の里が12勝3敗で初優勝した。幕下付け出しから7場所での幕内優勝は史上最速。7月場所(名古屋場所)は横綱照ノ富士が平幕隆の勝との優勝決定戦を制し、3場所ぶり10度目の優勝を果たした。

9月場所(秋場所)は関脇大の里が13勝2敗で優勝。大関昇進が決まった。11月場所(九州場所)は大関琴桜が14勝1敗で初優勝を果たした。

女子ゴルフ 笹生、古江がメジャーV

女子ゴルフのメジャー大会・全米女子オープン(5月30日~6月2日、米ペンシルベニア州・ランカスターCC)で、笹生優花が20年に続いて大会2度目の優勝。渋野日向子が2位、古江彩佳が6位となった。7月のエビアン選手権(11日~14日、フランス・エビアンリゾートGC)では古江が初優勝し、日本女子で4人目のメジャー覇者となった。

エビアン選手権で優勝した古江彩佳=7月14日、フランス(AFP=時事)
エビアン選手権で優勝した古江彩佳=7月14日、フランス(AFP=時事)

男子では松山英樹が8月、米プレーオフシリーズ第1戦(フェデックスセントジュード選手権、15日~18日)を制し、PGAツアー通算10勝目を飾った。松山はこれに先立ち、パリ五輪のゴルフ競技にも出場。通算17アンダーで3位となり、この競技で日本男子初のメダルを獲得した。

坂本花織が世界フィギュア選手権3連覇

世界フィギュアスケート選手権2024(3月18日~24日、カナダ・モントリオール)で、坂本花織が女子シングルス3連覇を達成。フリーで149.6点をマークし、ショートプログラム4位から逆転した。同種目の3連覇は、1968年大会のペギー・フレミング以来56年ぶり。男子シングルは、鍵山優真が2位となった。

1月の四大陸選手権(中国・上海)では、鍵山が男子シングルで優勝。女子シングルも千葉百音(もね)が優勝を果たした。

18年平昌五輪、22年北京五輪のメダリストで、世界選手権も制した宇野昌磨が5月、競技の引退を表明した。

バナー写真:2024年9月20日、ロッキーズ戦の1回、歓声に応えるドジャースの大谷翔平。前日に「50本塁打、50盗塁」を達成した=米ロサンゼルス(時事)

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