諏訪大社上社本宮の重文、入口御門と布橋 「こけらぶき」屋根に 長野県諏訪市

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屋根に「こけらぶき」が施された入口御門と布橋。最新の防火防災設備も導入された
屋根に「こけらぶき」が施された入口御門と布橋。最新の防火防災設備も導入された

諏訪大社が、上社本宮(長野県諏訪市神宮寺)で進める重要文化財保存修理事業の1期工事が竣工した。銅板ぶきだった入口御門と布橋の屋根が国産の無垢材を使った「こけらぶき」になったほか、神楽殿から上がる石段の東脇にあった「番所」も復元されるなど、諏訪大社が隆盛を誇った官幣大社時代(昭和初期以前)の雅やかな姿に戻された。

上社本宮には21棟の重要文化財(重文)がある。保存修理事業(2019~25年)は16年に追加指定された重文10棟のうち9棟と、附指定された1棟の計10棟を対象に行い、設計監理を文化財建造物保存技術協会(東京)、施工を田中社寺(岐阜市)が担当している。

工事は3期に分け、1期は2020年1月に着工。1777(安永6)年創建の布橋は半解体修理、1829(文政12)年に建てられた入口御門は屋根のふき替えと部分修理を施した。2棟とも屋根をこけらぶきに戻したほか、最新の火災報知設備を導入。布橋には柱と梁に補強材を入れて耐震補強もした。1959(昭和34)年頃まであった番所は大社や市博物館に残る写真、戦前の絵葉書、図面、現地の痕跡に基づき復元した。

こけらぶきは、国産材を手割りで縦約24センチ、横約6センチ以上、厚さ約3ミリのこけら板にして、職人が竹くぎで固定した。布橋にはスギ材の板を約30万枚、入口御門にはクリ材の板を約9万5000枚使用した。第1期工事は国や県、市の補助を受けて進めた。

第2期工事は昨年12月、文庫と摂末社遥拝所、額堂を対象に始まり、来年秋には完成予定。第3期は神楽殿、天流水舎、勅使殿、五間廊、勅願殿の5棟で進め、2025(令和7)年度の完成を目指す。諏訪大社は「参拝者の皆さまには令和7年度まで続く工事にご理解、ご協力をお願いいたします」と話している。

(長野日報社 全国12新聞社加盟 全国郷土紙連合。元記事はこちら

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