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2023年上半期の交通事故:死者1182人、10年ぶりに増加

社会

警察庁の発表によると、2023年上半期(1-6月)の全国の交通事故死者数は前年同期比24人増の1182人。上半期としては13年以来、10年ぶりの増加となった。

65歳以上の高齢者を見ると、死者数は前年同期比5人減の647人。全体に占める割合は54.7%(同1.6ポイント減)だった。

上半期の交通事故死者数の推移

上半期の死者数は2014年から22年まで9年連続で減少していたが、今回は増加に転じた。同庁は、コロナ禍で続いてきた行動制限が緩和し、人々の外出機会が増えたことが背景にあるとみている。

状態別死者数をみると、「歩行中」が417人と最も多く、全体の35.3%を占めた。次いで「自動車乗車中」402人(34.0%)、「二輪車乗車中」212人(17.9%)、「自転車乗車中」の143人(12.1%)。前年同期比でみると、自転車乗車中の死者は減ったが、歩行中、自動車・二輪車乗車中の事故死者はいずれも増加した。65歳以上の高齢者の歩行中死亡事例を見ると、横断歩道以外の場所で道路を横断しようとして事故に遭ったケースが45.3%と最も多くなっている。

交通事故の状態別死者数の割合

75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数は前年同期比10.5%増の179件。免許人口10万人当たりの死亡事故件数は高齢運転者の場合2.7で、75歳未満の運転者(1.1)に比べて2倍以上になっている。

飲酒運転による死亡事故件数は前年同期比4件増の59件。児童(小学生)の死者・重傷者は同14人増の315人だった。

免許なしで電動キックボードが運転可能に

従来の道路交通法では「原付バイク」扱いだった電動キックボードが、法改正で7月1日から、運転免許なしで乗れるようになった(16歳未満は運転禁止)。都市部ではシェアリングサービスが拡大し、簡単な手続きで利用できるようになっているが、ヘルメット着用が努力義務とされたことから、事故や交通違反が増加するのではとの懸念も出ている。

警察庁のまとめでは、法改正前の2021年9月から23年1月までの間に、電動キックボードに関連する事故は76件発生。1人が死亡し、78人がけがをした。4分の1が単独事故で、4割が車と、2割が自転車と、1割が歩行者と衝突・接触した事故だった。

免許なしで乗れるようになった電動キックボード(PIXTA)
免許なしで乗れるようになった電動キックボード(PIXTA)

バナー写真:車約20台が絡む多重事故が起きた京奈和自動車道の橿原高田インターチェンジ(IC)出口付近から撤去される事故車両=2023年1月12日、奈良県橿原市(時事) 

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