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最低賃金1002円に―首相意向反映し、初の大台越え : 過去最大の41円引き上げ

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最低賃金がようやく全国平均で時給1000円を超える見通しとなった。週5日フルタイムで働いても1カ月17万円ほど。税金や保険料を差し引かれた手取り額では、十分な生活費にはならない。

中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は、2023年度の最低賃金の引上げ額の目安を全国加重平均で「41円」とすることで決着した。02年度に時給で示す現在の方式となってから、22年度の31円を大きく上回り、過去最大の引き上げ幅。目安通りに改定されれば、全国平均で時給1002円となる。1000円を超えるのは初めて。

目安は各都道府県を経済情勢に応じて3分類し、東京や大阪など6都府県のAは41円、宮城や京都、兵庫など28道府県のBは40円、青森や沖縄など13県のCは39円とした。各都道府県の審議会で目安を踏まえた上で引き上げ額を決定し、10月頃から新たな最低賃金が適用される。

岸田文雄首相は3月に首相官邸で開いた政府、労働界、経済界の代表による「政労使会議」で、「賃上げは新しい資本主義の最重要課題だ。1000円達成を含めしっかり議論していただきたい」と提起。経済財政運営などの基本方針「骨太の方針」にも「1000円達成も含め議論する」と明記されたことから、政権の意向をくむ形で決着となった。ただ、中小・零細企業は人件費の上昇を販売価格などに転嫁することが難しく、賃上げによる経営負担が重くなる可能性も指摘されている。

最低賃金の推移(時給 / 全国加重平均)

実際に最低賃金が1000円を超えるのは東京1113円、神奈川1112円、埼玉1028円、千葉1025円、愛知1027円、京都1008円、大阪1064円、兵庫1000円の8都府県のみで、その周辺部に900円台後半地帯が広がる構造だ。一方、東北、九州、四国を中心に17県が800円台に取り残された。

目安通りに改定された場合 最低賃金の分布

バナー写真 : PIXTA

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