Japan Data

カスタマーハラスメント:企業の2割が「相談あった」―厚労省が対策マニュアル作成

経済・ビジネス 社会

客などの悪質なクレームや理不尽な要求など迷惑行為を指すカスタマーハラスメント(カスハラ)。この増加を受け、厚生労働省は2022年2月、企業向けの対策マニュアルを初めて作成した。

厚労省が実施した職場ハラスメントに関する調査によると、過去3年間に(職場や雇用者から)カスハラの相談が寄せられたと回答した企業は19.5%で、代表的な職場ハラスメントであるパワハラ(48.2%)、セクハラ(29.8%)に次いで多くなっている。

同省は、顧客や取引先からの暴力やや悪質なクレームなどの著しい迷惑行為をカスタマーハラスメントと定義。全国の従業員30人以上の企業・団体と、全国の企業・団体に勤務する20~64歳の男女労働者を対象に、2020年10月に調査を実施した。企業・団体の調査の回収数は6426件、労働者の調査のサンプル数は8000人。

パワハラ、セクハラ、カスハラの相談件数の過去3年間の推移をみると、パワハラ、セクハラは「減少している」との回答が「増加している」との回答より多かったのに対し、カスハラは「増加している」(3.8%)が「減少している」(2.2%)を上回った。

また、労働者の調査では、過去3年間に勤務先でカスハラを一度以上経験した人の割合は15.0%で、パワハラ(31.3%)よりは低いものの、セクハラ(10.2%)よりも高かった。

労働者が過去3年間にハラスメントを受けた割合(%)

繰り返し 時々 一度だけ 経験なし
パワハラ 6.3 16.1 9.0 68.7
セクハラ 1.5 4.2 4.5 89.8
カスハラ 2.1 7.4 5.5 85.0

(2020年の厚生労働省調査)

受けたカスハラ行為の内容については、「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム(過度なもの)」が52.0%と最も多く、次いで「名誉棄損・侮辱・ひどい暴言」(46.9%)、「著しく不当な要求(金品の要求や土下座の要求)」(24.9%)などが上位を占めた。

2月に作成したカスハラ対策の企業向けマニュアルによると、現場での初期対応としては、録音、録画をはじめとする検証可能な証拠の収集を重視すべきだとし、具体的には「店頭で対応せず、応接室などの個室に招いて2人以上で対応する」「苦情を専門に受け付ける専用電話を設置して録音ができるようにしておく」「顧客を訪問して対応する場合は、冷静になりにくい時間帯(夜間や早朝)を避ける」といった対処法を挙げている。

バナー写真:PIXTA

企業 ハラスメント