印鑑、契約書…進まないペーパーレス : 会議資料は紙と併用
経済・ビジネス 仕事・労働
コロナ禍を契機にリモートワークが一挙に広がった。PCと通信環境さえあれば大抵の仕事はどこでもできるのに、「上司にハンコをもらう」「郵送されてくる請求書を開封して、経理部に提出する」ために出社しなければならない…などということも少なくない。日本能率協会のアンケート調査で、紙を一掃するにはほど遠いオフィスの現状が明らかになった。
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日本能率協会は2021年8月にビジネスパーソン1000人を対象に、業務電子化の状況などについて調査した。
2019年4月に従業員の労働時間の把握が義務化されたことから「勤怠管理」は電子化が進んでおり、「完全に電子化」「一部電子化」の合計が7割を超えた。
一方、遅れているのは印鑑とファクスで、完全に電子化されたのは1割前後にとどまり、6割は電子化されていないと回答。契約書も5割は電子化されていない。いずれも顧客や行政機関の都合に合わせる必要があるためか、紙での運用が続いている。
会議資料も、参加者がPCやタブレットで見れば省資源にもなるのだが、カラープリントを別途用意するなど「紙と併用」が46%を占める。
コロナに振り回されたこの1年間、職場のペーパーレス化はどの程度進展しただろうか。「とても進んでいる」「やや進んでいる」と回答したのは計44%で、進んでいない企業は56%を占めた。
「ペーパーレス化が進むと、業務の生産性が向上すると思うか」との問いに対し、全体の4割超が向上すると肯定的に評価。生産性が落ちると答えた人は全体の1割程度にとどまった。
ペーパーレス化の進展度別にみると、「とても進んでいる」層では8割が業務の生産性が向上すると答えた一方、「まったく進んでいない」層では向上するが2割にとどまり、60 ポイント近い意識差があった。
ペーパーレス化に「メリットがある」と考える約8割825人を対象に、具体的なメリットを聞くと、「コスト削減」を選んだ人が7割強と最も多く、以下、省スペース化、業務効率化、環境保護、資料の見える化などの順だった。
バナー写真 : PIXTA