世界の科学論文数、中国が米国抜いて首位に:日本は4位に後退
科学- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
文部科学省科学技術・学術政策研究所が世界各国の科学技術活動の実態を調べた「科学技術指標2020」によると、国の研究開発力を示す指標の一つである自然科学分野の論文数で、中国が米国を抜いて初の首位となった。日本は前回調査(2010年)から1つ順位を下げ、3位のドイツに次ぐ4位となった。
主要国別の自然科学系論文本数(2016~18年の年平均)
論文数 | シェア(%) | ||
---|---|---|---|
1 | 中国 | 305,927 | 19.9 |
2 | 米国 | 281,487 | 18.3 |
3 | ドイツ | 67,041 | 4.4 |
4 | 日本 | 64,874 | 4.2 |
5 | 英国 | 62,443 | 4.1 |
6 | インド | 59,207 | 3.9 |
7 | 韓国 | 48,649 | 3.2 |
8 | イタリア | 46,322 | 3.0 |
9 | フランス | 45,387 | 3.0 |
10 | カナダ | 41,071 | 2.7 |
「科学技術指標2020」より
同調査は、2016~18年にネイチャーなど世界約1万の科学誌に掲載された自然科学の論文を分析。論文数は、国際協力の下で書かれた論文が多いため、「分数カウント法」により全ての論文に対する貢献度を各国に割り振った上で、国ごとの本数を見積もって算出した。
その結果、中国が論文数30万5927本(シェア19.9%)で1位となり、米国の28万1487本(同18.3%)を上回った。3位以下はドイツが6万7041本(4.4%)、日本が6万4874本(4.2%)、5位の英国が6万2443本(4.1%)など。米中両国が他国を大きく引き離している。
10年前の日本の論文数は6万6460本で、数だけ見るとほぼ横ばい。だが、他国・地域の論文数が相対的に増加しており、順位を下げた。注目度の高い論文を見ると、トップ10%補正論文数、トップ1%補正論文数とも、日本は9位という結果に終わった。
主要国における研究者数は中国が約187万人(2018年)と最も多く、以下、米国の143万人(2017年)、日本の68万人(2019年)、ドイツの43万人(2018年)、韓国の41万人(同)などが続いた。
主要上位国の研究者数と研究開発費総額
研究者数(万人) | |
---|---|
中国 | 187 |
米国 | 143 |
日本 | 68 |
ドイツ | 43 |
韓国 | 41 |
研究開発費総額(兆円) | |
---|---|
米国 | 60.7 |
中国 | 58.0 |
日本 | 17.9 |
ドイツ | 14.8 |
韓国 | 10.3 |
「科学技術指標2020」より
日本の研究開発費総額はOECD推計
2018年の主要国における研究開発費総額(円換算の名目額)は米国が約61兆円と最も多く、以下、中国の58兆円、日本の18兆円、ドイツの15兆円、韓国の10兆円だった。
バナー写真:ノーベル賞授賞式で、化学賞のメダルと賞状を授与された旭化成名誉フェローの吉野彰さん(前列右から3人目)=2019年12月10日、スウェーデン・ストックホルムのコンサートホール(時事)