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コロナ対応で脚光浴びる2人のイケメン首長 : 北海道・鈴木知事と大阪・吉村知事の略歴紹介

政治・外交

新型コロナウイルスの感染拡大により、各地で陣頭指揮を執る知事の手腕に視線が注がれている。その中でも、全国区で一気にブレイクしたのが北海道の鈴木直道知事(バナー左)と大阪府の吉村洋文(ひろふみ)知事だ。都庁職員として働きながら大学を卒業した苦労人と、弁護士出身のエリートという対照的な道を歩んできた2人の現在の活躍に至る略歴を紹介する。

地域ごとに状況が異なるコロナ対策においては、都道府県知事に多くの権限が委ねられるため、その決断力や行動力が試されている。いつも以上にニュースに取り上げられることで、地元住民はもちろん、全国民の注目が集まり、知事たちは日々採点される立場となった。

そんな中、一躍スターダムにのし上がったのが、北海道・鈴木知事だ。全国に先駆けて、2月26日に道内の全公立小中学校の休校を要請、28日には道独自の緊急事態宣言を発令し、道民に不要不急の外出を自粛するよう求めた。その迅速な行動は、その後の国の対応にも影響を与え、知名度は一挙に全国区になった。さらに、中国や台湾を中心とするアジア圏で「イケメン知事」として話題を呼んでいる。

一方、現在、東京都の小池百合子知事と並ぶ勢いで、メディア露出を続けるのが大阪の吉村知事。大阪市内の4つのライブハウスを舞台にした集団感染への対応では、積極的な情報開示で複数の都府県にまたがるライブハウス来場者をあぶりだし、さらなる感染拡大の阻止の姿勢を明確にした。3月20日からの3連休では大阪-兵庫間の往来自粛を要請するなど、決断力と機動力を発揮。5月4日に政府が緊急事態宣言を延長すると、翌日には外出自粛や休業などの要請を段階的に解除するための独自基準「大阪モデル」を発表。政府に対しても歯に衣(きぬ)着せぬ言動に加え、精悍(せいかん)なルックスで人気を集め、あまりにも精力的な仕事ぶりにSNS上では「#吉村寝ろ」という応援コメントまで飛び交う。

鈴木知事は39歳で、全国の知事で最年少。吉村知事が44歳で2番目に若い。共に市長から2019年4月の選挙で知事に当選し、1年足らずでコロナ対応を迫られた。

鈴木知事と吉村知事のプロフィール

鈴木直道・北海道知事 吉村洋文・大阪府知事
就任日 2019年4月23日 2019年4月8日
前職 夕張市長 大阪市長
政党 無所属 大阪維新の会(代表代行)
生年月日 1981年3月14日 1975年6月17日
出身地 埼玉県 大阪府
最終学歴 法政大学法学部卒 九州大学法学部卒
最初のキャリア 東京都職員(高校卒業後) 弁護士
家族 妻、息子、双子の娘
スポーツ 大学ボクシング部で主将 高校時代はラグビー部
座右の銘 お金を失うことは小さく失うことだ。
名誉を失うことは大きく失うことだ。
しかし、勇気を失うことはすべてを失うことだ。
意志あるところに道は開ける

吉村知事は大阪の名門・生野高校出身で、大学卒業の年に司法試験に合格した。2011年、顧問弁護士をしていた歌手・やしきたかじん氏(故人)の勧めもあって、政治家への転身を決意、大阪市会議員となった。14年の衆議院選挙で当選し、国政に転じたが、おおさか維新の会代表で大阪市長だった橋本徹の引退に伴い、その意志を継ぐべく市長選に出馬し、当選を果たす。地元愛が強く、「もっと大阪を前へ進めたい!!」をスローガンに掲げている。

華やかなエリート街道を歩んできた吉村知事と対照的に、鈴木知事は苦労人だ。両親の離婚による経済的な事情で大学進学を断念し、高校卒業後の1999年に東京都庁に入庁。都職員として働きながら、法政大学の夜間部に通い、ボクシング部の主将も務め、4年で卒業した。2008年に財政破綻した北海道・夕張市に出向。任期は1年だったが、さらに1年の延長を申し出て地域振興に励む。都庁復帰後は東京都知事本局総務部に配属され、内閣府へ出向となったが、夕張市民からの熱い求めに応じる形で市長選に出馬し、30歳1カ月の若さで当選した。

市長就任直後、自らの給料を7割削減し、退職金と交際費はゼロとした。年収約250万円の「日本一給料が安い地方自治体首長」として話題になる。コンパクトシティー化を目指し、利用者が減少した鉄道路線の廃線を自らJR側に提案し、代替策を引き出すなど大胆な施策を取る一方で、特産品の夕張メロンのトップセールスするなど市政の立て直しに力を注いだ。北海道知事就任後にも、給料・退職金の3割削減を申し出ている。

強気の姿勢をむき出しにして、マシンガンのごとく早口で自らの考えを語る吉村知事と、一言一言かみしめるように穏やかな口調の鈴木知事。タイプは違うが、飛び抜けた決断力と行動力は2人に共通する。他府県に先駆けた大胆な施策は、若さのなせる業と思われがちだが、2人の座右の銘には、それぞれの政治姿勢が凝縮されている。

2人の注目度が全国区となったのは、首長として「住民の生命と生活を守りたい」という強い意志が伝わるからこそだろう。今後の、求められる首長像に影響を与えそうだ。

バナー写真:北海道の鈴木直道知事(左)と大阪府の吉村洋文知事(時事)

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