【Photos】 アートトラック 極彩色の美学
文化
「デコトラ」とは、デコレーションされたトラックのこと。ド派手でゴージャス、そしてファンタジックな極彩色のアートトラックたちを紹介しよう。
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デコトラは成功者の勲章
「デコ電」、「デコデジカメ」、「デコ文具」……。「デコ」は「デコレーション」の略語で、日本では若い女性たちを中心に、携帯電話、デジタルカメラ、文具などをビーズやクリスタルを使って装飾する“デコ文化”が人気だ。
一方、若い女性ならぬ、いかついトラック運転手の間では30年以上前から“デコ文化”があった。「デコトラ」、つまりデコレーションされたトラックだ。
「デコトラ」を一躍有名にしたのは、1975年から79年にかけて計10本製作された映画「トラック野郎」(東映、鈴木則文監督)シリーズだ。主人公の乗るデコトラが日本全国を走り回る姿に憧れて、電飾や派手なペインティングでトラックを装飾するプロのドライバーが急増するなど、社会的にも大きなインパクトを与えた。
田附勝が撮影したデコトラのオーナーたちは、この映画を幼い頃に観ていつかは自分もと思っていた人がほとんどだという。田附は9年間かけて日本中の「デコトラ」を撮影し、写真集「DECOTORA」(2007年、出版社:リトルモア)にまとめた。米ニューメキシコ州サンタフェ市のアートギャラリーからはコレクションに加えたいとの申し出があるなど、海外からの反響も大きかった。
田附は語る。
「被写体としてのトラックも絵になるけれど、ドライバーも魅力的なんだ。トラック運転手の仕事は過酷で、肉体的にも精神的にもタフじゃないと務まらない。デコトラを通じて、そこに映し出される人間模様を浮き彫りにしたかった」
「デコトラ」は、トラック運転手の勲章でもある。大型トラックを購入するのに約1000万円かかる上、電飾などでデコレーションするのにさらに1000万円、場合によっては2000万円以上の出費となることもある。
男たちの心意気を示す、極彩色の美学を見てほしい。